現代人はもう、マツコ・デラックスなしに生きられぬ体になった<北条かや>

もう、「マツコに共感する人/しない人」でいいじゃん

 彼女の感覚は、こういってはなんだが、おそらく「おじさん、おばさんのそれ」なんだと思う。新しく出てきた世代の流行が、本気で分からない。そして、私たちの中には彼女のそういう「おじさん、おばさん的」な感覚に対し、異常にシンパシーを感じてしまう何かがある。  インスタは若い女が中心の流行だ。「若い女どもの考えていることなんかさっぱりわからん」「どうせ中身は空っぽよ」と言って嗤いたくなる人はたくさんいるのだろう。  うらやましいとか妬みの感情は「酸っぱいブドウ」的に打ち消される。「あいつらインスタ映えのことしか考えてねぇぞ、馬鹿にしてやる!」と。  ここでいう「おじさん、おばさん」とは「世代」じゃない。「美人/ブス」が数値化しづらいのと同じで、「おじさん、おばさん/若者」も非常に数値化しづらい感覚的なものである。  これが数十年前までなら、「戦争を知らない世代と戦中派」とか、「新人類世代とそれ以前の世代」とかでも良かったのだが、昨今は当てはまりのいい概念がないのである。よって「新旧」を対立させる概念として、便宜的に「おじさん、おばさんたちと若者」という陳腐な表現を使ってみたんだけど、今思いついた。  もう、「マツコ・デラックスに共感する人/しない人」でいいじゃん。  旧世代的に「今の流行はさっぱりわからん」と肩をすくめる人たちを「マツコさん側」、最新の流行ツールを使いこなす人たちを「マツコさんではない側」とすればいい。  彼女のインスタ批判がすぐネットニュースになって拡散するところをみると、われわれはマツコ・デラックスにすべてを託しすぎている。であればもう、マツコさんにすべてをゆだねようではないか。  ちなみに、同番組の街頭インタビューによると、インスタを「やる派」は54名に対し「やらない派」が46名だった。両者は、ほぼ拮抗しつつも「やる派」が若干多い。  これは最も「燃えやすい」危険な状態である。全体の半数は結構マジでやっているけれど、半数くらいはマジで「何が楽しいのか分からない」(byマツコさん)という状態は、無用な対立を生んでしまうからだ。 「みんなやってるけど、今更『お前やれ』っていわれてもちょっと……」みたいな負の感情が、「酸っぱいブドウ」的悪口を広めていく。その悪口を、つい言っちゃう側が「マツコさん側」じゃなかろーか。  ちなみに私はインスタやってますが、はっきりとマツコさん側です。すみません(土下座)。 <文・北条かや> 【北条かや】石川県出身。同志社大学社会学部卒業、京都大学大学院文学部研究科修士課程修了。自らのキャバクラ勤務経験をもとにした初著書『キャバ嬢の社会学』(星海社新書)で注目される。以後、執筆活動からTOKYO MX『モーニングCROSS』などのメディア出演まで、幅広く活躍。著書は『整形した女は幸せになっているのか』(星海社新書)、『本当は結婚したくないのだ症候群』(青春出版社)、『こじらせ女子の日常』(宝島社)。最新刊は『インターネットで死ぬということ』(イースト・プレス)。 公式ブログは「コスプレで女やってますけど
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