米大統領による、アジア訪問という名のカツアゲは恒例 (CC0 / Public Domain)
北朝鮮の国営メディアは11月29日、新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星15」の発射実験に成功したと発表した。同国メディアによると、今回発射した新型ICBMは最も強力なミサイルで、米国全土への到達が可能だとしている。
北朝鮮のミサイル発射を受けて、アメリカのドナルド・トランプ大統領は先月28日(現地時間)、記者団に対して「ジェームズ・マティス国防長官と、この問題をめぐって長い間議論した」、「我々は(北朝鮮に対して)真剣にアプローチしている。しかし、何も変わっていない。事態を重大に受け止めている。」と話した。
マティス国防長官は「今回のミサイルは、これまでのどの発射よりも高く上がった。世界のどこであっても脅威となるような、弾道ミサイルを作るという彼らの研究開発の一環である」と述べ、今回のミサイルがこれまでより格段に進化していることを認めた。
同じようにティラーソン国務長官も「地域、世界の安定を無差別に脅かしている」と強く批判。「北朝鮮の執拗な核・ミサイルの追求をなんとしても阻止しなければならない」と発言した上で、韓国や日本、その他関係国を含めた国連軍司令部派遣国を招集し協議することを提案した。
北朝鮮を取り巻く国際情勢の緊張感が高まる中、先月、トランプ大統領は12日間にわたって日本や韓国、中国、ベトナムなどアジア各国を訪れた。
トランプ大統領は、11月29日にミズーリ州セントチャールズで行われた演説で、アジア各国歴訪の帰国報告を行った。
背中を丸めて目を大きく見開きながら、周囲を視察するアジア国家指導者たちをからかうかのような「モノマネ」を交えながら。「彼らには(私の言葉が)理解できなかったようだ」と言わんばかりのジェスチャーに、聴衆からは笑いが起きた。韓国の報道では、あたかもこのジェスチャーが、日本の安倍首相であるかのように報じられている。
また、国の資金をどう扱えばばいいのか分かっていない国があったため、どのように国家資金を使うべきなのか「アドバイス」をしたと主張し、自身がアジアのリーダーらに防衛費をさらに増やすよう助言したと話した。
現にトランプ大統領は先月6日、日米首脳会談後に行った共同記者会見で「日本が大量の防衛装備を買うことが望ましい。そうすべきだ」と訴えている。7日には「今回の訪日と安倍(晋三)首相との友情が、我々の国に多くの利益をもたらすだろう。軍事とエネルギー面で莫大な発注が見込まれる」とツイッターでつぶやいた。
事実、北朝鮮とアメリカの緊張関係が高まるにつれ、アメリカの軍需産業の株価は急上昇し、最高値を更新し続けている。トランプ大統領の外交戦略を考えれば、今のアメリカと北朝鮮の緊張関係をある程度キープしながら、韓国や日本をはじめとする同盟国に防衛装備を売り込むことこそが、アメリカファーストといえよう。