「タイのメッシ」は日本でも通用するか?ランコ・ポポヴィッチを直撃した

タカ大丸

インドネシアン・スーパー・リーグ(ISL)公式サイトで監督就任が紹介されるポポビッチ氏(左)。右の写真は元イングランド代表のスティーブ・コッペル。彼もまた、ISL所属のチームでヘッドコーチをしている

 「カズマは元気にしているか?」

 ランコ・ポポヴィッチ(以降:ポポ)と筆者の会話はいつもこのセリフから始まる。言うまでもなく、「カズマ」とは彼がFC東京監督時代に指導し、筆者の友人でもある現ヴィッセル神戸主将のFW、渡邉千真選手のことである。

「ああ、元気にしているよ。主将としてもちゃんと仕事している。ただ、一つだけ問題があるんだよな」

「お前が言う“問題”とはなんだ?」

「まだ無得点なんだよね。ヴィッセルは開幕直後に四連勝したのかな。首位だったんだよ。だけど、最近連敗して首位陥落してしまってね。主将が得点を入れてくれていたら、ね……」

 そう言って筆者は笑った。この男は、契約終了後も常に教え子の動向を気にかけている。

「でもカズマは今先発で出ているんだろ? 大切なのはそこだ。彼は先発の機会さえ与えておけば、そのうち結果を出してくれる。筆者みたいな監督と出会って使ってもらえばな」

 そう言って、彼もまた笑顔を見せた。ランコ・ポポヴィッチとはそういう男だ。

 このとき、2017年4月末、ヴィッセルは柏と鳥栖に連敗した時期だった。ランコ・ポポヴィッチはタイの強豪・ブリーラム・ユナイテッド監督だった。

 同年六月まで監督を務めてブリーラムを前期優勝に導き、現在はインドスーパーリーグのFCプネー・シティ監督となっている。

 お気づきかと思うが、ポポも筆者も敬語を使っていない。ランコ・ポポヴィッチは敬語・敬称・形式を嫌う。欧州のサッカー監督は、選手やスタッフに「監督(ミステル)」と呼ばせることが多いが、彼は三年前にその呼び方を筆者に禁じた。

 なお、我々二人が話すときはいつもスペイン語だが、スペイン語には敬語がある。だが絶対に敬語・敬称を使わないのが暗黙の了解となっている。だから「さん」も「ミステル」もない。なのでこの記事も敬語なしで書くこととする。

 「最近、神戸と大宮の試合を見たんだけどさ、2-0で神戸の圧勝だった。大宮は今六連敗か、七連敗してるのかな。完全な泥沼(ルビ:フィアスコ)にはまってしまっている」

 「今、勝ち点1だろ」

 「よくご存知で」

 「お前は、何でこうなっていると思う?」

 大宮が勝ち点1なのを知っているなら、そちらのほうがよくご存じでしょうに、と筆者は心の中でつぶやく。

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伊達ではなかった「タイのメッシ」の実力

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