小池都政誕生以来、回答はいつも黒塗りの「のり弁当」
小池知事が黒塗りで開示した、舛添知事時代の特別秘書の給料書類
そもそも記者が特別秘書給与・手当額の公開を求めたのは、小池知事が率いる「都民ファーストの会」幹事長(後に代表)の野田数氏がそのポストについていたからだった。「知事の秘書というのは名ばかりで、都民ファーストの会の政治活動に流用しているのではないか?」との疑念があった。
というのも、橋本徹市長時代の大阪市で似た問題があったからだ。市長特別秘書のポストを新設して橋本氏の後援会長の近親者を採用。これに対し「市の仕事はろくにせず、政治活動に没頭させている」として給料・手当の返還を求める住民訴訟が起こされているのだ。
野田・宮地両秘書の給与額・手当額については、2016年夏の小池都政誕生以来、何人もの都民からたびたび情報公開請求がなされてきた。これに対する小池都政の回答は、徹底して「のり弁当」だった。つまり給料情報を真っ黒に塗りつぶした文書しか出してこなかった。
特別秘書は、知事が人選も給与も自由にできる“究極のコネ採用”
記者も同趣旨の情報公開請求をしてみたが、やはり
現れたのは黒が鮮やかな「のり弁当」だった。黒塗りの理由は「個人情報だから教えられない」である。
小池都政は「情報公開推進」の金看板を掲げてさっそうと登場した。しかし、特別秘書の給与問題を通して見る限り、看板倒れの印象が強い。「極力公開したくない」という意思すら感じる。
都の条例を調べてみると、一般職都職員(常勤)の最も低い給料は月額約14万円、一方で局長クラスの「指定職給料表」の最高額は月額110万円を超える。特別職である特別秘書の給料は、この範囲で事実上知事が自由に決められるということがわかった。
そして特別秘書は、選挙や議会の同意なしで知事が自由に人選できる。いわば知事が選んだ「お友だち」に、知事が決めた給与・手当を払う仕組みである。究極のコネ採用といってもよいかもしれない。