「中東で最も有名な日本人」、産油国社会に存在するヒエラルキーを語る
鷹鳥屋 明(たかとりや あきら)と申します。
ふだんは日本と中東を繋ぐベンチャー企業で商品企画に従事し、その傍で日本文化や日本のポップカルチャーを中東全域に広める活動を行っております。
そんな中、中東の現地メディアやイベントにもお声がけいただき、過分な評価ではありますが、おかげさまで「中東で最も有名な日本人」という異名をとるまでになってしまいました。
私もまだまだ勉強中でありますが、自身の経験から知り得たことを通じ、日本人に馴染みがないアラブのビジネス事情について解説していきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
「ドバイでビジネスをするなら英語で事足ります、アラビア語は必要ありません」
そう言って、UAE(アラブ首長国連邦)などのアラビア半島を中心とした裕福と言われる湾岸産油国でビジネス支援を行おうとしている会社を良く見かけます。
なるほど、まず英語についてですが、UAEなどは人口の少ない産油国の産業部門において、実質的に動いている労働者の約8~9割が外国人と言われています。
確かに、前線で働く方々のほとんどが英語話者であるインド人、パキスタン人、フィリピン人などの東南アジア、南アジアの方々です。
ですが、マネージャークラスより上の人材の多くはアラビア語話者になります。
そして、意思決定レベルの層はほとんどがアラビア語話者で占められています。前述の人々が言ったことを言い換えるならば、日本でビジネスをするにあたり「日本では中国人が多く働いているので、中国語が話せれば日本語は必要はありません」と言っていることと変わりません。
ですから、英語だけでは突き崩せない層にいつかぶつかることがあるので、もし本気でビジネスをするのであれば、アラビア語は習得しておいたほうが良いと思います。
語学に付随する話ですが、今回は湾岸産油国の基本的な社会構造を説明します。
まず一番所得と社会的地位が高いのが産油国土着の純粋な湾岸アラブ人で、通称“ローカル”と言います(冒頭の写真)。
こちらは石油の恩恵を受けて一番良い給与と、手厚い社会保障を受けています。湾岸産油国では一部を除き、国民の多くは政府部門に就職することを希望します。官公庁の重要なポストは基本的に“ローカル”が占めることになります。
就職希望業界ランキングのように説明するならばこの政府省庁が人気1位で、その次に政府関係機関や公社、その次に財閥系企業でその後に外資系企業や内資の銀行、保険、メーカーという形になります。
これは給与と手厚い社会保障制度のランキングと言っても過言ではありません。もちろん彼らは教育をしっかり国からほぼ無償で受けておりますので、英語を話せる人は多いかもしれませんが、必ずしも堪能というわけではありません。
はじめまして、
産油国の基本的な社会構造について
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