LINEモバイル、タイでサービス開始も現地競合他社の反発など課題山積み

田村和輝
 タイで「LINEモバイル」のサービスが始まった。LINEモバイルという名の携帯電話サービスは日本に続いてタイが2か国目だ。しかし、タイではLINEモバイルに対して競合他社が問題を提起し、タイ当局を巻き込んで議論が長期化するなど、LINEモバイルに関しては課題が山積みである。

日本国内にある「LINEモバイル」の販売店

現地の競合他社が猛反発

 LINEモバイルは「移動体通信事業者(以下、MNO)のサブブランド」なのか、それとも「仮想移動体通信事業者(以下、MVNO)」なのか、LINEモバイルの提供元と競合他社で主張が対立した。

 MNOは自社で基地局などを整備してサービスを提供し、MVNOは基地局などをMNOから借りてサービスを提供する。タイではMNOまたはMVNOとしてサービスを提供する場合、それぞれ異なる免許が必要で、タイ政府組織の国家放送通信委員会(以下、NBTC)より免許を取得しなければならない。

 まず、LINEのタイ法人であるLINEカンパニー(タイランド)の主張では、LINEモバイルの提供元はトータル・アクセス・コミュニケーションの子会社であるdtacトライネット(以下、DTN)であり、LINEカンパニー(タイランド)の関与はブランドの使用契約のみという。

 トータル・アクセス・コミュニケーションもLINEカンパニー(タイランド)と同様の主張だ。DTNはMNOの免許を保有しており、トータル・アクセス・コミュニケーションはDTNを通じて「dtac」のブランドで携帯電話サービスを手掛けるが、LINEモバイルもDTNが保有するMNOの免許に基づき、あくまでもdtacに次ぐ2番目のブランドでMVNOの免許を取得する必要はないと説明する。また、年間免許料として売上高の一部をNBTCに納付する義務があるが、LINEモバイルの売上高はDTNのそれに計上し、MNOの免許条件に従って納付するため問題ないと主張した。

 しかし、トータル・アクセス・コミュニケーションの競合であるアドバンスト・インフォ・サービス(以下、AIS)とトゥルーが猛反発した。LINEモバイル側の主張を否定し、LINEモバイルはDTNの基地局などを借りたMVNOで、新たにMVNOの免許を取得する必要があるという主張だ。

タイ当局にも不手際

 AISやトゥルーの猛反発を受けて、NBTCは調査を経て判断を下す方針を示したが、判断の明確化は遅延しており、そもそもこの件はNBTCにも落ち度がある。

 タイでは2017年9月よりLINEモバイルを正式に開始したが、実は開始前から免許の問題が指摘されていた。NBTCも開始前に簡易調査を実施したが、LINEモバイル側の主張を否定することなく、そのままLINEモバイルが正式に始まったという経緯がある。

 もし免許に問題があるならば、開始前の段階で判断を明示すべきで、問題を認識しながらも競合他社の猛反発を受けて再調査に乗り出したNBTCにも非がある。NBTCは過去にも周波数オークションの不手際や機密情報の漏洩など失態を重ねているが、規制当局としての責任感欠如が改めて浮き彫りとなった形だ。

次のページ 
LINEモバイルの狙い

1
2
4
5
関連記事
6
7