10倍株(テンバガー)が達成後に調整もしくは暴落するのはなぜなのか?

そーせいグループの場合

 そーせいグループ(東証マザーズ;4565)は、グローバルに医薬品開発に取り組む日本発バイオ医薬品企業で、アルツハイマー病、統合失調症、がん免疫、偏頭痛、依存症、代謝疾患等の画期的なバイオ医薬品の創出を目指している。  そーせいグループは、2004年7月29日に上場したが、最近の株価動向を見ていくと、2012年6月に950円、2016年5月に26,180円の高値をつけたので、「テンバガー」達成銘柄である。11月13日の終値は11,030円であるので、現時点でも「テンバガー」を維持しているものの、2016年5月の26,180円からしてみれば1年半で11,030円になっているのは十分「暴落」と言えるレベルだ。  過去10年間を振り返ってみると、同社は営業利益および純利益はずっと赤字が続き、ともに黒字になったのは2014年からである。ただ、株価は2013年に上昇している。この時期は、「ウルティブロ」(慢性閉塞性肺疾患(COPD)の諸症状を緩和するための気管支拡張剤)の欧州および日本における製造販売承認に伴う開発進捗に応じたマイルストーン収入および上市(販売)後のロイヤリティ収入が拡大したのだ。  そーせいグループの業績と株価の推移を眺めると、株価に将来の業績が織り込まれるのが速い印象を、筆者は持つ。株価が、株式市場で一般的に言われる半年先ではなく、1年先を織り込んでいくと言う感じである。  会社四季報によると、そーせいグループのEPS(1株当たりの利益)は、2014年3月期126.7円、同じく15年41.3円、16年-93.6円、17年580.0円、18年(予想)176.9円、19年(予想)265.3円。EPSの予想から、そーせいグループの株価は底を打った可能性があると、筆者は考える。

アドウェイズの場合

 アドウェイズ(東証マザーズ;2489)は、2006年に上場したネットのアフィリエイト(成果報酬型)広告で国内大手である。最近では海外広告配信網やSNSとの提携を強化している。  同社の場合、最近の5年間は株価の乱高下が激しかった。2012年7月に、同社は115円の底値を付けている。その後、2013年12月、アドウェイズの株価は、高値の3,345円まで暴騰し「テンバガー」を達成した。しかし、その後は、トレンドとしては下落傾向にあり、今年11月14日の終値は、550円である。  会社四季報によると、アドウェイズのEPS(1株当たりの利益)は、2015年3月期16.8円、同じく16年3.5円、17年-11.1円、18年(予想)5.7円、19年(予想)7.2円となっている。また、13年8.0円、14年14.4円である。(参照:アドウェイズIR資料)   2013年の半ばから急騰が始まり、12月に高値に到達したアドウェイズの株価だが、この株価はEPSを1年~2年先取りして上昇し、下落したことになる。
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その後の命運を左右する指標とは?
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