仕手筋が手掛ける新興市場株を見逃すな

10倍株を意味する「テンバガー」。株式投資に興味のある人なら夢見たことはおそらく一度や二度ではないはずだ。今、最もテンバガーに近い銘柄は何なのか。精鋭たちが今年の夏に逃さず仕込んでおきたい“原石銘柄”を惜しむことなく伝授する

兜町の事情通・藤崎譲司氏(仮名)が推奨

藤崎譲司氏(仮名)

藤崎譲司氏(仮名)

「10倍高銘柄」と、一言で片付けてしまうのは簡単だが、実はそんな銘柄に出会える確率は非常に少ない。  というのも、アベノミクスで株式市場が沸いていた’13年の統計を検証すると、1年間で10倍高を達成した銘柄はわずか6銘柄。上場企業がおよそ3500社だから、全体の0.2%にも満たないのである。しかし、それでも10倍高銘柄の特徴を知っているのといないのとでは、それらの銘柄に出会う確率はかなり違ってくるはずだ。  例えば、’13年の上昇率ランキングで10倍高を達成した銘柄は、ジャスダックが1社、東証マザーズが5社と、すべて新興市場の銘柄となっている。ちなみに、1位は東証マザーズに上場するアドウェイズで、上昇率は1890%、東証1部では日本トリムの599%で最上位である。  つまり、狙うべきは新興市場株だということがわかる。

仕手筋が狙う10倍高銘柄は、時価総額が小さい新興市場株

 そして、それらの銘柄が上昇している裏で暗躍しているのが、多くの場合、仕手筋と呼ばれる相場師の存在だ。兜町の裏事情に詳しい藤崎譲司氏(仮名)は言う。 「仕手筋はその資金力を生かして、出来高の少ない銘柄を目立たずコツコツと拾っていきます。そして、ある程度の株を集めたところで一気に買い上げ、上昇率や出来高急増ランキングに登場させます。同時に、街の投資顧問やネット掲示板などに材料内包説などの情報を流し、その銘柄に個人投資家の注目が集まるように演出するのです。時価総額が小さい新興市場銘柄に個人投資家の『ちょうちん買い』が追随すれば、すぐに株価は急騰。中には連日ストップ高となる銘柄もあり、一気に株価は数倍に化けるというわけです」  ただし、仕手筋の最終目的は安値で仕込んだ銘柄を高値で売り抜くこと。どこで雪崩のような彼らの売り物が降ってくるかは予想がつかないため、個人投資家としては常にマーケットをウオッチしておく必要がある。 「ソフトバンクやトヨタ自動車といった日本を代表する大型株は、どんなに業績がよくてもここから10倍になることはないでしょう。一方、仕手株にはその可能性があります。だからハイリスクとわかっていても、仕手株の魅力に取り付かれる玄人投資家が後を経たないのです」
日本通信

日本通信は、証券ディーラーなども巻き込んで株価が急騰中だ!

 さて、そんな仕手筋だが、時代の流れとともにその姿も変化している。一昔前は、カリスマ相場師が旗を振り、取り巻き連中が顧客を巻き込んで相場を形成していた。もちろん、今でも昔ながらの仕手筋は存在しているが、最近注目されているのがデイトレーダーの投資集団である「ネット仕手筋」だ。  例えば、足元で急騰している日本通信やディー・ディー・エスは、彼らが手掛けるツートップ銘柄とウワサされている。  6月に入り、日本株市場は再び勢いを取り戻してきた。当然、仕手筋の懐も温かくなっているはず。この夏は仕手株によるアツ~イ夏となりそうだ。 【日本通信】 684円/100株/最低購入金額6万8400円 スマホ向けに割安料金で通信サービスを提供する仮想移動体通信業者(MVNO)。テーマ不足の株式市場で、息の長いテーマとして注目されている。足元の業績も飛躍的に伸びており、折につけ注目される銘柄となりそう。デイトレーダーやプロの証券ディーラーを中心に資金がよく回転しており、割高感はさほど感じられない。今年1月の89円の安値からそろそろ10倍高達成となりそう
日本通信

日本通信

【理経】 246円/100株/最低購入金額2万6400円 最近話題の3Dプリンター関連。6月に入り、突如出来高が急増、ネット仕手筋の介入がウワサされている。この5月には143円の安値をつけており、この銘柄を本格的に仕上げるなら、まだ初動段階と考えることができる。160円割れ近辺にロスカットを入れ、じっくりと値幅を狙っていきたい。この1月につけた223円の年初来高値更新も目前で、さらなる上昇に期待できそうだ
理経

理経

【サイバーダイン】 8600円/100株/最低購入金額86万円 この3月に上場したばかりのロボット関連企業。今年1番の注目IPOとされていたが、相場環境もあまりよくなく、思ったほど株価は伸びなかった。しかし、ここへきてマーケットでは再びロボット関連銘柄が脚光を浴びており、株価は切り替えしている。上場から間もないため、戻り売り圧力も少なく、上値は軽そうだ。1万円台を奪回すれば、一気に上放れの可能性は大きいだろう
サイバーダイン

サイバーダイン

【アドウェイズ】 1880円/100株/最低購入金額18万8000円 ’13年の株価上昇率ランキング1位銘柄。パソコンやスマホ向けアフィリエイト広告の国内トップ企業だが、マーケットではLINE関連銘柄として特に注目されている。まだ未上場のLINEが、日米同時上場を目指しているとの報道を受け、再び動意づいた。昨年の実績もあるだけに個人投資家によるちょうちん買いが入りやすい。もちろん、ネット仕手筋も再注目しているようだ
アドウェイズ

アドウェイズ

【藤崎譲司氏(仮名)】 株式相場歴25年のベテランジャーナリスト。仕手筋との親交もアツく、自らも銘柄を仕込んでいる。ファンド筋をはじめ、多くの株式情報からのメールは毎日300通を超える ※株価、最低購入資金は6月13日終値。チャートは’13年12月14日~’14年6月13日 ― この夏勝負!の(秘)10倍株 厳選22銘柄【8】 ―
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