低位株投資は、どんな相場のときでもチャンスがある
2014.08.25
10倍株を意味する「テンバガー」。株式投資に興味のある人なら夢見たことはおそらく一度や二度ではないはずだ。今、最もテンバガーに近い銘柄は何なのか。精鋭たちが今年の夏に逃さず仕込んでおきたい“原石銘柄”を惜しむことなく伝授する
これまでいくつもの10倍株を発掘した経験を持つ低位株投資の達人・鮎川健氏。低位株投資は、どんな相場のときでもチャンスがあるという。
「テクニカル投資と違い、ファンダメンタルズ投資は地合いに大きく影響されません。その銘柄本来の価値に対して安ければ買うだけ。そのうえで“高パフォーマンス”と“銘柄を絞り込む手段”として低位株に注目します」
とはいえ、10倍株を見つけるのは、やはり相応のリスクが必要となる。
「私は通常、『PBR1倍以下』、『自己資本比率20%以上』『営業キャッシュフローがプラス』などの条件でスクリーニングすることで、割安かつ倒産リスクが少ない銘柄を選んでいます。しかし2~3倍程度の上昇ならそれでも十分ですが、10倍という超絶なパフォーマンスに挑むには、ある程度のリスクを背負う必要があります。『株価がゼロになってしまうかも』という覚悟のうえで、自分の投資資金を決めてください」
今回は多少のリスクをとって10倍を狙う株を2銘柄、リスクを限定し、10倍は難しくても2倍程度なら十分期待できる株を2銘柄推薦してもらった。
まずは10倍の可能性を秘める銘柄として、鮎川氏が挙げるのが雑貨屋ブルドッグとアスモ。
「雑貨屋ブルドッグは、昨年、粉飾決算が発覚して大暴落した銘柄。しかし元来は高収益体制で潤沢なキャッシュを持った優良財務企業であり、抜本的なリストラなどの業務改善により’16年度の黒字転換を狙っています。現在はPBRが0.29倍と、悪材料が出尽くして底値だと判断できるので、ここから極端に株価が下がることは考えにくいです」
それに対して、アスモの株価は多少割高だという。
「介護サービスと給食受託サービスへの参入により将来的な急成長は期待できますが、現時点での業績に対してPBRは4.20倍と割高状態。ここから大きく株価が下落する可能性も十分にあるので、焦って買わないこと。押し目をひたすら拾っていって、年単位の長期保有で業績改善をじっくり待ちましょう」
つづいて、前出2銘柄と比較するとリスクが少なく、それでいて2倍程度の値上がりが十分期待できるのが日建工学とホウライの2社だ。
「日建工学は、株価が100円台ですが、財務体質は無借金の超優良企業。PBRは1.43倍と高めだが、配当利回りが3.40%は魅力。さらに今後、国の防災対策事業などにともなう底堅い公共投資が見込まれます」
一方、ホウライは超割安株。
「主力の保険・不動産事業が安定しており、着実に成長を続けているのに、PBRが0.51倍、PERが4.60倍とバーゲンプライス状態。値下がりリスクは限りなく小さいので、じっくりと持って株価が見直されるのを長い目で待ちましょう」
【アスモ】
92円/1000株/最低購入金額9万2000円
2006年に当時業績低迷中だった食肉卸のシンワと飲食店を展開するオックスが合併。その後も業績は低迷し、2010年に上場来最安値の6円まで転落。ところが介護サービスと給食受託サービスに新規参入したことで業績は回復し、現在も好調を持続。このまま大成功を収めたあかつきには、株価大変貌の可能性も。現状は割安感がないので、ひたすら押し目を狙って拾い、年単位の長期保有で狙おう
【雑貨屋ブルドッグ】
145円/100株/最低購入金額1万4500円
女性向けファッション雑貨店を展開。昨年、4期にわたる粉飾決済が発覚。その後、同業のアクサス主導のもと不採算店舗の早期閉鎖などリストラを実施。それにより今期は64億円の売上げに対して55億円もの巨額赤字を計上の予定。現在の株価は8年前につけた上場来最高値の30分の1以下。しかし元々は高収益を誇る優良財務企業で、現在も47億円の潤沢なキャッシュを保有している
【日建工学】
177円/1000株/最低購入金額17万7000円
景観・環境事業、土木シート、消波ブロックのほか、約60種もの多岐にわたる特殊工事を得意とする企業。出願中も含め800件以上もの特許を持つのが強み。業績は長らく低迷していたが、震災復興事業で一躍脚光を浴びた。今後も震災復興事業及び東海・東南海・南海地震に対する対策事業にともなう底堅い公共投資が見込まれる。無借金の超優良財務体質で、3%超の配当利回りも魅力
【ホウライ】
219円/1000株/最低購入金額21万9000円
年商50億円、純利益7億8000万円と上場企業としては小ぶりながら、損害保険代理店、ビルの賃貸・管理、乳製品の製造販売、レジャー施設・レストランの運営など、多方面に事業を展開。主力の保険・不動産事業の安定収入が強みで着実に成長を持続している健全経営にもかかわらず、株価は不当にバーゲンプライス状態。もっと見直されてもいい“隠れた優良企業”といえる
【鮎川健氏】
低位株投資家。投資歴15年のサラリーマン投資家。低位株投資を得意とし、これまでいくつもの“10倍株”を発掘。著書に『目指せ10倍 低位株投資ライブセミナー』(ダイヤモンド社)などがある
※株価、最低購入資金は6月13日終値。チャートは’13年12月14日~’14年6月13日
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