イスラエルでは、必ずハッキリとした形でフィードバックを行うことが肝心
そうは言ってもスタートアップに会うときは、1社だけに訪問先を限定することは、到底できない。
会ってみて、いい意味でも悪い意味でも想像と違う場合は多いし、10社程度会う場合は、最初の1社に対し「是非あなたの会社とやりたい」となどは約束できない。
この連載をお読みの読者ならお気づきだと思うが、そうするとイスラエル側は本気になってしまう。また、遅くなってもいいので、「今回は残念で興味がなかった」「こういうことを考えているので、新しい提案やソリューションがあったら連絡が欲しい」など、しっかりそのスタートアップにフィードバックをしておくことは、最低限のマナーであろう。
そういう時は、「今回何社かと合う予定があり、その中であなたの会社がベストであれば、日本に帰ってからすぐ連絡する」と伝える。
帰国日が明日と迫り、今回お会いした会社10社中9社目の会社で、本当にいい会社の場合などは、「これまであった会社の中で一番いい会社で具体的に協業をしたい」などと、本音でしっかりとコミュニケーションをとることが必要であろう。嘘はすぐ見破られるし、リップサービスで調子のいいことばかり返事していると、その後、いざ進めようとなったときに、進めなくなってしまう。
イスラエル人は、いい加減で適当な人も多いが、日本人と同じ様に、誠実な人には誠実に対応してくれる人も、思いのほか多い。
最初のコミュニケーションを上手く行うことは、イスラエルに限ったことでなく当たり前のことであると思うが、この地では、その点がハッキリ影響してくるので、しっかりとしたビジネスを考えている会社であれば、最初から誠実なコミュニケーションを心がけてほしいと思う。
【加藤 清司】
株式会社イスラテック代表取締役。1980年静岡県浜松市生まれ。2006年、「ある技術」に注目しそのルーツを調べ、イスラエルへと旅立ち2か月過ごす。現在、日本を代表するテクノロジー企業を対象に、イスラエルのスタートアップとのアライアンスを支援。2017年1月、『
スタートアップ大国イスラエルの秘密』を出版。