無所属での出馬会見を行う嘉田由紀子・前滋賀県知事
今総選挙では、突然の解散と新党立ち上げの混乱のもと、既存政党を離れて無所属で立つ候補が少なくない。
そんな中、「無所属候補は国政選挙で3つのハンディがある」と語るのは、無所属で出馬を決めた前滋賀県知事の嘉田由紀子氏。当初は民進党からの出馬を打診されたが、「『国政政党の党首経験者は無所属で出馬を』と、前原誠司民進党代表から相談があり無所属から出ることになった」(嘉田氏)という。
嘉田氏は2012年の衆院選で「日本未来の党」の共同代表を務めた経験がある。「卒原発」を訴えて100人を越える候補者を立てて9議席を獲得したが、その後党内人事の対立による離党・分党で所属議員がいなくなった。本人による衆院選出馬は初めてのこと。
「滋賀県では、再生可能エネルギーを入れながら2030年までに原発ゼロを実現するための工程表を作った。地方でできないことを国政で進めていきたい」と準備を始めた嘉田氏。「無所属はものすごく不利だと、出馬してみて改めて気づきました」と語る。
「知事選挙だったら無所属でも同じスタートが切れますが、国政選挙では3つのハンディがあるんです。政権放送、ビラ、選挙カー、どれをとっても不利。メディアで届けられない、目で届けられない、耳で届けられない」
ビラやポスター、選挙カーや拡声器、事務所の数にまで差が
まず、無所属では政権放送ができず、テレビ・メディアでのナマの声と姿を届けられない。
選挙ハガキは各候補者3万5000枚を活用できるが、政党はそれに加えて候補者数×2万枚を活用できる。選挙ビラも同様。各候補者は2種類以内7万枚を配布できるが、政党はそれに加えて種類の制限なしに候補者×4万枚を配布できる。
選挙ポスターは公営掲示板に各1枚、政党候補者はそれ以外に1000枚掲示できる。
選挙カーも各候補者1台だが、政党は候補者の人数に応じて1台以上がプラスされる。その他、街頭演説用の拡声器の数、選挙事務所の数にまで差がある。
また無所属では小選挙区でしか出馬できないが、政党候補者は比例区との重複立候補によって、小選挙区で落ちても比例区での復活当選がありえる。
憲法14条は「すべて国民は、法の下に平等」だと謳うが、いまだ被選挙権はさまざまにイビツで平等ではない。さらに言えば、既存政党と新党の間にも差別がある。