ラジオNIKKEIの記者が「キッコーマン」に注目する理由
2014.08.15
10倍株を意味する「テンバガー」。株式投資に興味のある人なら夢見たことはおそらく一度や二度ではないはずだ。今、最もテンバガーに近い銘柄は何なのか。精鋭たちが今年の夏に逃さず仕込んでおきたい“原石銘柄”を惜しむことなく伝授する
最近1年のマネー誌を読み返してみると「これから上がる株」を見つけるには、アベノミクスを読み解いて成長分野を見つけ、個別株を探すかに終始している。
しかし、それとは違ったアプローチをするのがラジオNIKKEIの名物記者・和島英樹氏だ。
「昨今は、アベノミクスへの期待感が若干下がり気味。外国人投資家も売り越したりしています。ですから、アベノミクスが失敗したとしても影響を受けない銘柄がいいでしょう」(和島氏)
そこで和島氏が一番手に挙げるのがキッコーマンだ。
「前期の売り上げは絶好調。しかも、海外の売り上げが494億円とついに国内の売り上げの481億円を超えたんです。海外でもお醤油はソイソースとして親しまれていますし、テリヤキソースも一般的になっている。日本独自の食文化を海外で認知させた功績は大きいでしょう。国内は人口減少社会に入っているので、売り上げ規模を維持するのは厳しいかもしれませんが、世界市場が伸びているのは期待が持てますね。直近で上場来高値を更新しているのも大きい。今年の日経平均は、あまり上値余地はなさそうですが、キッコーマンはいけそうです」(同)
日経平均が1万4000~1万6000円のレンジに止まっているなかでも、上昇トレンドに入っているのだ。
「キッコーマン以外の銘柄だと、住宅断熱材の日本アクアもいいですね。昨今、震災復興需要や’20年東京オリンピック招致決定などがあり、建築関係の職人さんが足りていないという現状があります。従来の断熱材は職人が壁に布状の断熱材を張って留めていくので1週間程度の工期がかかるのですが、日本アクアの現場吹きつけ発泡の住宅断熱材は、1日で終わる。しかも高気密、高断熱で価格競争力にも強いと品質にも優れている。昨年末にマザーズに新規上場したばかりですが、売り上げ規模は十分、東証一部並にあります。今年中には鞍替えもあり得るのではないでしょうか。一見、不動産関連銘柄に見えますが、独自の技術を持っているので、さらなる伸び代があると思いますよ」
高値は上場直後に4065円を付けているが、値幅調整はすでに終了し、上値を狙う展開が予想されている。
「地下資源工事用のボーリングマシンで有名な鉱研工業もいいですね。中央リニアはルートの8割がトンネルですし、東京外環道工事でもトンネルを掘るなど、トンネル工事があれば、確実に絡むこととなります。あとは、水素ガスの岩谷産業なども上値余地がある。次世代のクルマ燃料電池車の水素ステーションが、’15年までに100か所の建設を目指しています。今後、全国1000か所以上に増える展開を期待します」
アベノミクスの第三の矢である“成長戦略”は、正直予想しにくい。だからこそ、別アプローチで10倍株を狙ってみてはいかがだろうか。
【キッコーマン】
2101円/1000株/最低購入金額21万100円
醤油メーカー最大手で国内シェアは約3割。昨今では北アメリカでの認知度が上がり、利益を生む体質に成長している。「アメリカでも完全にソイソースは定着しています。その需要を切り開いて着実に伸ばしてきた実績は評価したいですね。今後は東南アジアやインドの市場も狙って、売上高5%増、利益も4%増を計画。海外での認知度を高める経営力は定評がありますね」(和島氏)
【日本アクア】
3360円/100株/最低購入金額33万6000円
硬質ウレタンフォームの現場吹き付け発泡の住宅断熱材のトップ。エコ注文住宅の桧家グループに属しているが、時価総額はすでに日本アクアの方が上。「直近の業績が悪くないのに、上場来高値を超えられなかったのは、単純に昨年、IPO銘柄の人気がなかったから。足元の業績は問題ありませんし、株価の調整も終わったと見ています。これから上値を試す展開になると思います」(和島氏)
【鉱研工業】
501円/100株/最低購入金額5万100円
地下資源工事用掘削機械で有数のトップメーカー。トンネル工事のボーリングマシンには必ず関わる。また、地熱発電などの温泉開発工事施工も行っており、脱原発関連の銘柄でもある。今期は保守的な予想を出しており、直近では失望売りが入っているが和島氏の見解では利益を上げられる状況に入っているとか。また、アジアの水力発電ダムにも携わっており、今後の業績の上積みに期待
【岩谷産業】
607円/1000株/最低購入金額6万700円
産業・家庭用のガス専門商社。LPガスでは首位を誇っている。’15年に向けて、燃料電池車の水素ガスステーションが全国100か所に増える。そのうちの20か所を岩谷産業が担当する見込み。これまでは燃料電池車のテーマに乗りきれていなかったが、実際に燃料電池車が普及していき、関連ニュースが増えていけば株価高騰の可能性は十分。「理想買い」から「現実買い」のステージに入ると見ている
【和島英樹氏】
ラジオNIKKEI。日経ラジオ社情報制作局マーケット情報部解説委員。ラジオNIKKEIの人気番組『ウィークエンド株!』でパーソナリティーを務める。取材に基づく独自の解説が人気の名物記者
※株価、最低購入資金は6月13日終値。チャートは’13年12月14日~’14年6月13日
取材・文/テンバガー取材班 チャート協力/楽天証券
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日経平均がレンジ相場でも上昇トレンドに入っている
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