NAFTA廃止?米国とカナダの貿易協定誕生か?メキシコはBRICSへ接近か

白石和幸

メキシコでは自動車は重要な産業

メキシコでは自動車は重要な産業。
photo by mochiliazocultural via pixabay(CC0 Creative Commons)

 1992年に北米自由貿易協定(NAFTA)が発足してから、特にメキシコの政治家の間ではメキシコは北米の南部地方といったような意識でいた。ところが、トランプ大統領が登場すると、彼らは「メキシコは北米を構成しているのではない」ということを自覚せざるを得なくなった。
 なにしろトランプ大統領は、大統領選挙戦中から公約として掲げていたように、メキシコに進出した米企業を米国に戻すことと、対メキシコとの貿易赤字を埋めること。この二つの目的をNAFTAの再交渉を通じて達成しようとして、メキシコにとって不利な条件を突きつけているのである。

 10月13日に米国代表が4回目の交渉の席で新たに提示したのは、これまでメキシコで生産される自動車が無税で米国に輸入されるためには、各自動車を構成する部品の62.5%が米国で生産されていることが必要条件だというのを、85%まで引き上げるという案であった。(参照:「Sin Embargo」)

 この様に、メキシコにとって不利な条件を提示して来たトランプ大統領の根底にある考えは、NAFTAを廃止することなのである。この先5年を目安にNAFTAを廃止して、米国とカナダの二国間だけの貿易協定を結びたいというのがトランプ大統領の本音なのである。(参照:「Sin Embargo」)

 そうすれば、メキシコとの貿易赤字は解消され、米国の企業のメキシコへの投資も減ると見ているのである。

 しかし、NAFTAを廃止すれば、メキシコ向けに自動車部品を生産している企業が打撃を受け、米国内で5万人の雇用が喪失するとも予測されている。

 また、米国で生産されている自動車1100万台の部品の25%がメキシコで生産されているが、NAFTAが廃止になれば米国はその部品にも関税を適用せねばならなくなる。それは米国で生産する自動車のコストアップに繋がる。それでもメキシコでの生産が有利なのである。理由はメキシコの労賃が非常に安いからある。(参照:「Sin Embargo」)

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メキシコは中国に接近
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