前触れのない状況での微表情検知には、最低50時間の訓練が必要
ただ、微表情はあくまでも抑制しきれない感情の漏洩であるため、微表情=ウソとは考えず、精査すべき質問ポイントとして活用することが大切です。
1時間で80%の微表情検知率、その効果は3週間!ただし……
それでは、微表情を正しく検知するためにどのくらいのトレーニング時間が必要なのでしょうか? 1時間?10時間?100時間?1,000時間?でしょうか。
正解は1時間です。1時間の集中的かつ専門的な微表情検知トレーニングを受けることで、40%の検知率から80%の検知率に高められ、さらにこの検知率は何もしなくても3週間維持されることが実験からわかっています。
ただし、これは「今から微表情が目の前の画面に現れます。その微表情が何か当てて下さい。」という微表情が必ず生じることが予めわかっている実験状況です。
現実世界において、いつ微表情が生じるかわからない、また相手の顔をジロジロと観察できないような状況の場合は、当然、微表情を検知する難易度は跳ね上がります。
私が様々な場所で研修をしている感じとしては、50~100時間くらいの微表情検知トレーニングをすれば、日常生活上で前触れなく現れる微表情を察することが出来てくるのではないかと、実感しています。
参考文献
Matsumoto, D. & Hwang, H. S. (2011). Evidence for training the ability to read
microexpressions of emotion. Motivation and Emotion, 35(2), 181-191.
Warren, G., Schertler, E., & Bull, P. (2009). Detecting deception from emotional and
unemotional cues. Journal of Nonverbal Behavior, 33, 59-69.
<文・清水建二/写真・
ぱくたそ>
【清水建二】
株式会社空気を読むを科学する研究所代表取締役・防衛省講師。1982年、東京生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、東京大学大学院でメディア論やコミュニケーション論を学ぶ。学際情報学修士。日本国内にいる数少ない認定FACS(Facial Action Coding System:顔面動作符号化システム)コーダーの一人。微表情読解に関する各種資格も保持している。20歳のときに巻き込まれた狂言誘拐事件をきっかけにウソや人の心の中に関心を持つ。現在、公官庁や企業で研修やコンサルタント活動を精力的に行っている。また、ニュースやバラエティー番組で政治家や芸能人の心理分析をしたり、刑事ドラマ(「科捜研の女 シーズン16」)の監修をしたりと、メディア出演の実績も多数ある。著書に『
「顔」と「しぐさ」で相手を見抜く』(フォレスト出版)、『
0.2秒のホンネ 微表情を見抜く技術』(飛鳥新社)がある。術』飛鳥新社がある。