クソガキは日本だけじゃない! ケータイを取り上げられ反乱、教師を告訴…世界の教権侵害問題
福岡の私立高校で、授業中に生徒が教師に暴力をふるった事件がワイドショーを賑わしているが、その発端は、教師が生徒からタブレットPCを没収したことだった。
この私立高校ではタブレットPCの利用を多くの授業に取り入れている。しかし暴力沙汰の起こった授業ではタブレットPCを利用しなかったにも関わらず、生徒が授業と関わりのない動画を見続け、教師による再三の注意も聞かなかったために、教師がそれを取り上げ生徒の怒りを買った。
例えばフランスでは、政府が、学生たちは登校後にスマホや携帯電話を保管ボックスに入れ授業を受けなくてはならないという方案を推進するという。
これはフランス・マクロン大統領が、小学校・中学校での携帯電話等の使用は全面的に禁ずると選挙公約に掲げたからである。
9月13日のAFP通信によれば、この事がフランス国内において物議を醸している。
「スマホや携帯電話が注意力散漫の要因」、「サイバー暴力の手段として悪用される危険がある」等の賛成派がいる一方で、「学生たちが素直にスマホを保管ボックスに入れるのか?」、「保管方法や返還のルールはどうするのか?」などの問題点も指摘されている。
類似した論争は、お隣の韓国でも起きている。
韓国では既に数年前から、登校時または授業前に学生たちのスマホや携帯電話を預かり、放課後に返却するシステムを多くの中・高等学校で導入している。
しかし、このような校則に反発した一部の学生たちが、国家人権委員会に陳情をした。
陳情では「親との急な連絡が取れない」、「寄宿舎において家族や友達と連絡が取りづらい」等の意見を述べ、また孤立感を解消し他者とのコミュニケーションを実現するスマホや携帯電話の肯定的な側面も考慮すべきだとした。
そして人権委員会では、一部の学校における「携帯電話等の全面禁止」は個人の自由に対する侵害とし、学生らを支持したのだ。
陳情した学生側は「スマホや携帯電話は個人の所有品であり、学生のプライベートの侵害の可能性もあることから、一括の預かりは不合理」として人権委員会の判断を歓迎した。一方で、保護者や教師からは「スマホや携帯電話のせいで、学生たちが授業に集中できなかったり、教師と衝突を起こしたりする場合もある。しっかりとした制度として、スマホや携帯電話を管理しなくてはならない」と反発している。
学生たちのスマホ依存問題も、何らかの規制が必要とされる理由だ。韓国では小・中・高の学生の約9.6%がスマホ依存の当事者または予備軍であり、学年が上がれば上がるほどその傾向は強くなる。
教育のICT化は、文部科学省でも積極的に推進しており、教科書のデジタル化や電子黒板の導入、無線LAN環境の整備等、教育環境の整備を進める一方で、機材を操作する側である教師や生徒のネットリテラシーに関わる教育の問題も重要視されている。
今回の福岡の一件などからも授業へタブレットPCの導入するにあたってのルール作り等も教育現場が決めていかなくてはいけない大事な問題だ。
一方で、今や小学生にまで普及しているスマートフォンの問題も、教育現場における重要な課題となっている。
デジタルアーツ社が今年の3月に発表したデータによれば、スマホの所有率は小学生で60.2%、中学生で82.0%となっており、5人に1人は成績悪化を注意された経験があるという。またモバイルマーケティングデータ社の統計によれば、高校生のスマホ所有率は93.0%となっている。
また学校でのスマホ・携帯電話に関する校則「ある」が85.6%、「授業中の使用禁止」が61.6%、「構内での使用禁止」も37.4%となっている。
SNSを通じたイジメや、スマホ依存の危険など、教育のICT化の推進の裏には様々な問題が内包されているのだ。
「学校でのケータイ禁止」で物議を醸しているフランス
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