民間による月を目指すレース「グーグル・ルナ・Xプライズ」(Google Lunar XPRIZE) Image Credit: GLXP
アポロ計画で人類が月に降り立ってから、まもなく半世紀が過ぎようとしている。以来、月へは無人の探査機が何機か送られただけで、かつてSF小説や図鑑で描かれていた月面基地や月へ移住などは、ついぞ実現しなかった。
しかし今、月探査は新しい展開を迎えようとしている。そのきっかけとなったのは、現在開催されている「グーグル・ルナ・Xプライズ」(Google Lunar XPRIZE)と呼ばれる、民間企業・団体による月探査を目指すレースである。
このレースそのものにはいくつかの問題はあるが、参戦チームはその先に、月探査や月の資源開発のビジネス化や、月への移住といった未来を描いている。
GLXPは、Xプライズ財団が主催し、Googleがスポンサードしている、月探査を目指した賞金レースである。
グーグル・ルナ・Xプライズの開催を発表するピーター・ディアマンディス氏 Image Credit: GLXP
Xプライズ財団は、実業家の
ピーター・ディアマンディス氏によって立ち上げられた、人類にとって大きなブレイクスルーとなる技術の開発を目的とした非営利団体である。これまでも民間による宇宙船の開発を目指した「アンサリXプライズ」、超低燃費車の開発を目指した「オートモーティブXプライズ」などが開催。現在も、GLXP以外に数多くのレースが開催されている。
GLXPに参加できるのは、民間の企業、あるいは団体に限られており、彼らが自力で開発した無人の月探査機を月に着陸させること、着陸地点から500m以上移動すること、そして高解像度の動画や静止画を地球に送ることなどが条件として定められている。
これらの条件を一番最初にクリアしたチームには、賞金2000万ドルが贈られる。2位でも500万ドル、また部門賞のようなものも用意されており、条件のうち一部しかクリアできなくても数百万ドルが与えられる。さらに、アポロ計画で月に残された遺構を撮影したり、探査機を5km以上移動させることに成功したりすれば、ボーナスとして数百万ドルが上乗せされる。
GLXPの期限は2018年3月31日までで、この日までに前述の条件をクリアする必要がある。
GLXPの開催が発表されたのは2007年のことで、これまでに世界各国から30ほどのチームが名乗りをあげた。しかし、資金や技術などの問題から多くのチームが撤退し、現在残っているのは米国の「
ムーン・エクスプレス」、イスラエルの「
スペースIL」、国際チームの「シナジー・ムーン」、インドの「
チームインダス」、そして日本の「
HAKUTO」の5チームのみである。