財政健全化には消費税再増税を中止すべき
2014.12.08
7-9月期GDP成長率は年率▲1.6%と発表された。4-6月期の在庫激増で生産が減少したことが要因だ。安倍政権は消費税再増税を’17年4月へと先送りを決定し、12月14日総選挙を決断した。順調に見える株式市場に死角は本当にないのか。
(政治経済学者 植草一秀氏)
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’05年から’07年の円安・株高相場は’07年半ば以降、円反騰・株価急落で終焉している。金融危機の兆候が見え始め、当時のFRBは’07年後半から利下げに進んだから、現在とは状況が異なるが、ドル高の延長上にはその逆転現象が控えることを忘れてはならない。
安倍政権は消費税再増税の延期方針を打ち出したが、’17年4月の増税を確定すると、せっかくの延期でもたらされたプラス効果は弱まる。野党からは再増税の「延期」ではなく「中止」を求める声が発せられている。
再増税を中止すれば、株高の宴は二次会に移行するだろう。しかし、「延期」だと、宴は一次会で終了。そろそろ中締めで、参加者は三々五々帰宅し始める頃になる。
’97年度に増税を強行した橋本政権の下で21.7兆円の財政赤字(’96年度)は37.5兆円(’98年度)に激増した。増税は必ずしも財政健全化策にならない。再増税中止で日本経済を本格的に立て直すことが日本財政健全化の近道になる。
【今週の数字】
’07年7月の日経平均株価高値
1万8261円
アベノミクス相場は円安・株高の連動で、7年ぶりの水準を記録している。7年前の高値、ドル円124円、日経平均株価1万8261円が相場の天井になる可能性もある
【選者】植草一秀氏
シンクタンク主席エコノミストなどを経て、現在はスリーネーションズリサーチ(株)代表取締役。ブログは「植草一秀の『知られざる真実』」。近著に『日本の奈落-年率マイナス17%GDP成長率衝撃の真実-』(ビジネス社)
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