「ライトレール」に期待懸ける宇都宮市中心部――「タイムリミット」はすぐそこに

JR宇都宮駅から東武宇都宮駅に向かう大通り・県道1号線。LRTの建設が予定されるが着工の目処は立っていない。通勤時間帯には多くの路線バスが列をなしており、渋滞の原因にもなっている

 構想から苦節24年を経て、ようやく本年度中にJR宇都宮駅東口(宇都宮市)から本田技研北門(芳賀町)までの東側区間(約15㎞)が着工される見込みとなった宇都宮ライトレール。『「宇都宮ライトレール」まもなく着工!-日本初の「新設LRT」、その計画概要は?』で紹介したように、宇都宮市では幾度となくLRTの早期着工を求める市民集会が開かれており、度重なる計画の遅れから、沿線住民による早期完成を願う声が日に日に大きくなっている。

 しかし、最も重大な懸念は、着工の目処すら立っていない西側区間、JR宇都宮駅から東武宇都宮駅附近の中心市街地へと向かう西側区間(約3km)の「延伸の遅れ」だ。

 古くからの宇都宮の中心市街地(中心商業地)はJR宇都宮駅から約1.5㎞ほど西の東武宇都宮駅(東武宇都宮百貨店)の周辺で、宇都宮ライトレールはこの中心市街地区間に乗り入れて初めて「中心市街地から郊外地域の一体輸送」を担う交通機関となることができるのだが、繁華街の街路を通過するため建設費も大きくなるとして、この区間は未だに「整備に向け調査中」の段階だ。

宇都宮ライトレールの路線図。(宇都宮ライトレール公式サイトによる)

「先行き不透明」な中心市街地の大型店

 もともと、宇都宮市の中心市街地は多くの大型店がしのぎを削る「商業激戦区」として有名だったが、モータリゼーションによる郊外化の煽りを受け、1990年代から2000年代にかけて「上野百貨店」(地場百貨店、破産)や「西武百貨店」、「丸井」などが相次ぎ撤退。「福田屋百貨店」(地場百貨店)は店舗をJR宇都宮駅北側の郊外へと移転し、北関東一の「ハレの場」となっていた宇都宮市街地の地位は大きく低下した。

かつて中心市街地に立地していた地場百貨店「福田屋百貨店」はモータリゼーションの波に乗るかたちで1994年に郊外へと移転。言わば「逃げ切り」に成功した形だが、中心市街地の地盤沈下を促進させた原因の一つでもある

 近年はこうした撤退のピークは過ぎたものの、生き残った大型店の先行きにも暗雲が立ち込めている。

 1997年に開業した「宇都宮パルコ」の2015年度の年商(テナント売上高)は約43億円で、パルコ全店舗の中でワースト2位。パルコは、西武グループから大丸松坂屋百貨店傘下となったのちに「大都市圏への経営資源集中と地方店の見直し方針」を発表しており、この年ワースト4位だった千葉パルコ(約51億円)、ワースト1位だった大津パルコ(約36億円)は2016年から2017年にかけて閉店。数字だけ見れば、宇都宮パルコも安泰とは言い難い状況だ。

 さらに、パルコに隣接する旧・西武百貨店のビルに出店している「MEGAドン・キホーテ」(「長崎屋」運営)の建物は老朽化による耐震化不足が発表されており、近く解体・再開発される可能性が高い。同店が閉店したならば、隣接するパルコの将来に、さらには宇都宮市街地全体への集客にも大きな影を落とすことは必至だ。

宇都宮パルコ(左)は二荒山神社の御前でもある「バンバ」地区に出店。開業20周年を迎え「RIGHT NOW 宇都宮!PRE EXPO」と称したプロモーションや、人気アニメ「弱虫ペダル」と自転車の街・宇都宮市とのトリプルコラボイベントなどを実施。「宇都宮とともに歩むファッションビル」をアピールすることで、若者からの支持を繋ぎとめようとしている

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LRT整備で優位になる業種が増加

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