10月1日から年末までの3か月間、訪日団体ツアー販売が禁止される大連
中国で旅行会社を管轄する中国国家旅遊局は、今月中旬、北京の旅行会社に対して訪日団体ツアー販売を停止するように伝え、その波が各都市へも波及し始めている。
中国当局は、個人ツアーは引き続き問題ないので、禁止ではなく制限だと繰り返し強調しているが、訪日する中国人全体の4割を占める団体ツアーを販売させない事実上の禁止処置となる。禁止という言葉を使うと強権的なイメージが付きまとうので制限という言葉を使っているのだろう。
ちなみに、2016年日本を訪れた中国人は約600万人でそのうち4割が団体ツアーなので約240万人となる。
中国では新しい制度が始まると首都北京からというケースが多く、今回もその例に漏れず北京から始まり、地方都市の大連では10月1日から12月末までの3か月間の訪日団体ツアー販売禁止となる。大連の大手旅行会社によると、3か月間で大連市全体でツアー参加者を4000人以下にするようにとの通達があったそうだが、この人数が多いか少ないのか判断はつかない。正確には9月末まで販売しても問題ないはずだが、すでに各社自主規制で販売を停止している。
しかし、現時点でも、同じ遼寧省の丹東や瀋陽では、まだツアーの販売がされており、地域差があるようだ。
なぜ、今回の禁止処置が取られたのか正確な理由は不明だという。中国当局は、「年間許可人数の上限を超えたから」と発表しているが、大連で第1種旅行免許(中国の旅行業には第1種と第2種のライセスが存在し後者は外国人向けのツアーなどを組むことができないなど一定の制限がある)を持つ旅行会社の組合のような場でも話題に上がるも許可人数が何人なのかすら分らない状態だ。
中国メディアでは、人民元の流失防止や国内産業保護などの理由が挙げられているが正直どれも後付感は否めない。
仮に禁止期間が3か月間だと想定すると、日本へ行けなくなった中国人約60万人が他の旅行先へ変更することになる。現状、考えられる代替地は、タイ、マレーシア、ベトナム、北朝鮮あたりか、または国内となるだろう。実際、今年3月15日から「THAAD」配備を理由に同じく団体ツアーを無期限全面禁止した韓国の代替地としては、タイや日本へ流れて春先から夏にかけて両国とも中国人観光客が増加しているほどだ。反中感情を持つ人が多いベトナムですら今年は明らかに中国人が増えたという。