農業もドローン・AI・ロボットが解決! 各国で進む「スマート農業」
一方、韓国では、情報通信技術(ICT)と農業の融合をスローガンとする「スマートファーム2.0」プロジェクトを、政府が推進中だ。 もともと韓国にとっての農業は、国内総生産(GDP)における割合約2.3%、農業に従事する農家人口は全体の5%となっており、主要産業とは言いがたい。しかし、韓国ではスマホ普及率が85%と言われるIT大国ならではの方法で、農業改革が進んでいる。 国内スマートファームの成功事例とされている温室栽培農家では、温室の内部と外部にバッジ水分温度測定センサーや温湿度環境センサー、co2センサー、光量センサー、気象センサーなど数多くのセンサーを設置し、栽培に最も適した環境を構築している。 農家側は情報を常にスマホやタブレットのアプリでチェックし、万が一環境が整っていなければ、アプリ内にあるボタン一つ(例えば温湿度ボタンなど)で調整が可能となっている。ソウル大学が世宗市にある農家100軒中、10軒を対象に調査した結果によると、センサー管理することによって、農産物の生産性は23%増加、一方で人件費とその他コストはそれぞれ39%と27%の削減効果を見せたという。 余談ではあるが、韓国ではゲーム会社と農家が提携し、農場ゲームアプリを提供しながら、自身がゲーム内で育てた野菜を実際に受け取ることができる面白い試みも進んでいる。ゲーム内では様々なアクションボタンが存在し(例えば「水やり」ボタンなど)、まめに作物をチェックしながら育てなければならないのだが、実際に擬似農業体験にもつながるため、話題となっている。<文/ロボティア編集部> 【ロボティア】 人工知能(AI)、ロボット、ドローン、IoT関連のニュースを配信する専門メディア。内外の最新技術動向やビジネス情報、ロボット時代のカルチャー・生活情報をわかりやすく伝える。編集長は『ドローンの衝撃』の著者・河鐘基が務める。https://roboteer-tokyo.com/日本においては、農業人口の減少が深刻だ。農業構造動態調査によると、1965年の農業従事者は1151万人だったのに対し、2015年には200万人にまで減少している。また、農業従事者の高齢化も問題となっている。 日本では人手不足および高齢化対策として、農業の自動化を実現しようという動きが高まっているが、人工知能(AI)を搭載したトラクターなども登場している。 クボタが開発した「ロボットトラクター」は、GPSなどで車体の位置を計測。あらかじめ登録しておいた農地の形状や広さのデータをもとに、ハンドルや耕作装置などを自動でコントロールする。また、レーザースキャナー、超音波ソナーを装備し、圃場への侵入者や障害物に近づくと自動で停止。安全面にも配慮されている。 このトラクターを導入すれば、農地を耕したり、肥料・農薬散布が自動化できるのではと期待されている。また通常ならば、凹凸が激しかったり、雨上がりのぬかるみがあると運転が難しいが、そうした水田でも安定走行が可能なため、「農作業に慣れない人も使いこなせる農機」として、新規就農者や新米農家にも扱いやすさという利点もある。 ロボットトラクターは、2017年6月から10台ほどをモニター販売されており、農家の意見をもとに改善・本格販売が目標とされている。 世界各国によってスマート農業のニーズは様々で、方法も多様だ。農業における先端テクノロジーの活用は、単なる収量・効率UPにとどまらず、産業そのもののビジネスモデルの拡大や新たな雇用創出の可能性も含んでいる。日本の農業人口減少の救世主になるか!?
ロボティア●人工知能(AI)、ロボット、ドローン、IoT関連のニュースを配信する専門メディア。内外の最新技術動向やビジネス情報、ロボット時代のカルチャー・生活情報をわかりやすく伝える。編集長は『ドローンの衝撃』(扶桑社新書)の著者・河鐘基が務める。
1
2
※ロボティアでは、今回の記事のほかにも下記のような記事を掲載中
●人間と機械がテレパシーで作業!? MITとボストン大学が脳波でロボットを制御するシステム開発中
●NVIDIAが「ロボカップ2017」に出展…エッジデバイスAI用プラットフォーム「Jetson」搭載ロボット・ドローン展示
●トランプ「アメリカファースト」の真の敵はロボットとAI
『ドローンの衝撃』 ドローンに関する基礎的情報をいっきに紹介 |
ハッシュタグ