今回ライバル航空に移ったパイロットはボーイング737の操縦免許を持っているパイロットということになる。ノルウェジアン航空がライアン航空のパイロットを引き抜くのに<年俸で最高1万7000ユーロ(221万円)>の差が出るだけのオファーをしたという。(参照:「
El Mundo」)
格安航空のパイロットは国際航空運送協会(IATA)のパイロットと比較して給与は低い。そのような中で格安航空でも他社より良い給与や雇用条件をオファーすれば今回のような現象も起きるというわけだ。(参照:「
El Confidencial」)
2000便キャンセルで多額の賠償がのしかかることに
2000便がキャンセルされるとなると、チケット購入客40万人に影響すると見られている。スペインの消費者保護団体(Facua)は、チケット購入者はフライトによって異なるが、250-600ユーロ(32500-78000円)相当の賠償金を請求できるとしている。今回の不祥事で、ライアン航空はおよそ2000万ユーロ(26億円)の賠償金を負担せねばならなくなるであろうと見られている。(参照:「
El Pais」)
キャンセルは、スペインの場合はマドリード空港始発13便の内の1機がキャンセル、バルセロナは12便の内1便キャンセルといった具合、ロンドンだと41便の内2便キャンセルといった具合に行われる。
各始発空港でのキャンセル便は1-2便程度だが、各便の座席利用率が高く、フライトの本数も多い為、キャンセルされた便のチケットを事前に購入している乗客は必然的に多くなるということになる。しかも、料金が14.99ユーロだとか超低価格のチケットを大量に販売しているので、尚更、フライトキャンセル客が多くなっているわけだ。(参照:「
Bolsamania」)
10月末まで続くと見込まれているフライトのキャンセルについて前出のオリアリー社長は「今回のキャンセルでライアン航空の名声に傷をつけることになっただろうか?」「私は40%のフライトの離着陸が遅れるよりも2%のフライトキャンセルの方を選ぶ」と述べているというが、果たしてどうなるだろうか……。(参照:「
El Mundo」)
<文/白石和幸 photo by
World Travel & Tourism Council via flickr (CC BY 2.0) >
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営する生活。バレンシアには領事館がないため、緊急時などはバルセロナの日本総領事館の代理業務もこなす。