カフェ文化が定着し始めたタイで奮闘する日本人パン職人の思い

高田胤臣
佐藤一真氏

タイで自身のフィールドを広げることを決意してやってきた佐藤一真氏。(写真提供:浜崎勇次)

 昔からコーヒー豆も生産するタイだが、主に南部で栽培されていたほとんどがインスタントコーヒーの原料になることが多いロブスタ種だったこともあり、タイ産豆の知名度は上がらないままだった。しかし、最近はタイ北部の山岳地で麻薬の原料となる大麻やケシなどの代替作物として世界的には高級品とされるアラビカ種の栽培が推奨されたこともあって、タイ北部のコーヒー豆が人気になっている。

 実際、以前はタイ人の間で飲み物としてはあまり浸透していなかったが、1998年のスターバックスの登場で若いタイ人がコーヒーを飲むようになった。そして、ついにはタイ公共保健省がバリスタの資格を創設するなど、タイ政府もコーヒー豆に力を入れ、タイ・コーヒーブームがタイ全土に到来中の状態になっている。

 それに伴って、カフェも洒落た店が急増している。バンコクにある日本人向けの無料誌や日本語サイトでも人気カフェの特集が組まれるほど、外国人から見ても楽しめる店が多くなった。

和風コンセプトのカフェも登場

 そんな中、今年8月14日、ひっそりとあるカフェがオープンした。その名は「ブレインウェイク・オーガニクス・トンロー」。すでに別の場所で人気だったカフェのネクストブランドとして登場しているのだが、中身が徹底的にジャパネスクな店として注目されている。内装や外装が和のテイストを盛り込んだというものではなく、あくまでも洋式なカフェの外観を保ちつつ、日本人に突き刺さるような店になっているのだ。それでも最終的な顧客ターゲットはタイ人だというのだからおもしろい。

⇒【写真】はコチラ https://hbol.jp/?attachment_id=150439

ジャパネスクなカフェではあるが、外観はあくまでもカフェ然とした「brainwake organics THONGLOR」。(写真提供:浜崎勇次)

 店のコンセプトなどを総合プロデュースするbrainwake B&D CEO 萩原裕之氏に話を伺った。

「当社はタイ人がオーナーですが、当店のスタートはすべて日本人の手で行っています。コンセプトはファクトリー&フードコートで、店内にパンなどを作る工場を併設していますし、フードもメニューではなく、直接料理そのものを見て選んでもらうことにしています」

 カフェであり、和洋泰を織り交ぜたデリカテッセンの様相もあり、洒落ていて明るい雰囲気が好ましい。

タイ産のコーヒーやヘルシーなドリンクなど、フードだけでなくトータル的にレベルの高い食事ができる

 ただ、タイ国内におけるビジネスでもあることから、思いもよらないことが起こる。実際、オープンはしたものの見切り発車状態で、開店当初は予定の7割程度で始動してしまったこともあったという。

「スタートの段階ではあえて日本人を顧客ターゲットにしています。今後は日本人の目線で、日本人がアレンジしたトムヤムクンを作るなど、日本人からの人気を得てから、タイ人からの人気を得ようという計画です。タイの方は日本人の嗜好を信頼していますし、タイ人もまた和風を好みますから、まずは日本人から来てもらって、タイ人でも入りやすい店を考えているのです」

 すでに数店舗は拡張が確定しており、近い将来、中国の進出も視野に入っている。ジャパネスクがタイを経由して海外に。可能性としてはその後に日本への逆輸入的進出もありえるという。

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「パン」が根付いていないタイで奮闘

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