日本初のギャンブル依存症対策団体が発足。幹部には業界とゆかりの深い有識者が名を連ね”マッチポンプ疑惑”か

RCPG公式HPより

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 日本初のギャンブル等依存問題対策に取り組む団体「一般社団法人RCPG(Resourceful Center of Problem Gambling)」の設立記者発表が9月4日、マンダリンオリエンタル東京で行われた。  時事通信によればRCPGは「ギャンブル依存症問題に関わってきた医師や弁護士ら」が設立した団体で、代表理事を務める精神科医の西村直之氏の「(依存症について)正しい知識が広く国民に理解されているとは言い難い」状況下で、「広い見識を有し、問題解決に真摯に取り組んでいる人たちの力を一つに集め、冷静な議論を行うために立ち上げた」という発言を紹介している。  同団体の理事には、最近ではクイズ番組の出題者等で見かける、諏訪東京理科大学の脳科学者・篠原菊紀教授や、厚生労働省がギャンブル依存症の調査を依頼した元・久里浜医療センターの医師でもある河本泰信氏らが名を連ねている。  IR推進法案が可決し、IR実施法が検討されるなか、国会では世論を巻き込む形でギャンブル依存症問題が激しく議論された。今秋の臨時国会では、ギャンブル等依存症対策法案が成立する見込みである。  そのような環境下において同団体は、 ・ギャンブル等依存問題に関する広報及び啓発 ・依存問題を抱える方々への各種支援プログラムの開発と提供 ・ギャンブル等依存問題に対する多面的な対策の提言及び実施 ・ギャンブル等依存問題の解決を支援するための人材育成と提供 ・行政、学術研究機関、国内における関連他団体との連携及び情報交換 ・海外のギャンブル等依存問題対策機関との連携  の6つを事業の柱にしていくという。

一般社団法人RCPGとパチンコ業界との関連性

 この度設立された一般社団法人RCPGは、ギャンブル等依存問題を幅広く研究していくとしている。その対象には、日本における公営ギャンブルやパチンコ、さらにはカジノ等も含まれる。  その一方で、同団体とパチンコ業界の深い関連性も垣間見える。  同団体の代表理事を務める西村直之氏は、長らく認定NPO法人リカバリーサポート・ネットワーク(以下RSN)の代表を務めている人でもある。  RSNとは、パチンコ・パチスロののめり込み問題に悩む人やその家族の電話相談を受け付ける機関で、RSNが毎年作成している報告書は、パチンコ業界を主管する警察庁も参考にしているとされる。  また、RCPGの理事を務める篠原菊紀教授も、パチンコ業界の中でも中心的な役割を果たしている一般社団法人日本遊技事業関連協会の理事を務めており、パチンコの依存問題や、高齢者のパチンコ遊技が脳の活性化に繋がるという研究成果も発表している。  その他にも、パチンコ依存等で悩む人の生活再建の手助けを主にしている、認定NPO法人ワンデーポートの理事長や前述の河本医師(現医療法人社団正心会よしの病院副院長)らパチンコ業界に関わりの深い人たちが、RCPGの中心人物となっている。
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パチンコ業界をよく知る有識者幹部に期待
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