株高、金利差から乖離した「不安定な円安」の波乱シナリオ
2014.12.02
※<資料>はコチラ⇒https://hbol.jp/?attachment_id=15020
今年に入ってからのドル/円と日経平均の関係からすると、最近のドル高・円安は日経平均が2万円を超えることを先取りした動きということになります。では、日経平均はドル高・円安を追随する形で2万円突破に向かうのか。
日経平均の5年移動平均線は足元で1万1450円程度ですから、2万円まで上昇するなら乖離率は75%程度に拡大する計算になります。1990年以降、同乖離率は60%以上に拡大したことはありませんでした。その意味では、1989年に日経平均が4万円近くまで上昇した「バブル」以来の乖離率拡大という計算になるわけです。
要するに、日経平均が2万円を超えるのは「株バブル再燃」ということであり、それが起こらない限り、株高でも120円のドル高・円安は正当化できないという見通しになります。株バブル再燃で120円を超える円安が正当化されるのか、そうでなければ先に見たように金利差でも株高でも正当化できないドル高・円安はあくまで一時的であり、転換する可能性も考える必要があるのではないでしょうか。
ちなみに、2013年4月の「黒田緩和1」の後は、約一か月半で10円強のドル高・円安になりましたが、その後は半月程度で約10円のドル急落、結果的には「行って来い」の展開になりました。
今回の「黒田緩和2」後のドル高・円安は、「黒田1」後に比べると大きくドル反落することもなくここまで推移した結果、要するに「1」を上回るペースでの展開になっています。これは「黒田緩和2」というサプライズの後に、今度は解散・総選挙という「サプライズ」の連続になった影響があったのでしょう。
ではこのまま「黒田緩和1」以上のドル高・円安が進み、120円を大きく超える展開に向かうのか。「1」のプライスパターンを参考にすると、ちょうど総選挙の投開票日を前後に、120円前後でドル高・円安はピークアウトし、年末年始にかけて一転110円程度までドル急反落が起こる見通しになりますが、果たしてどうか。
円安のこの先のシナリオは、12月中旬の総選挙前後が一つの大きな分岐点になる可能性があるかもしれません。(了)
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【吉田 恒氏】
1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。同社の代表取締役社長などを経て、2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケットエディターズ」の日本代表に就任。国際金融アナリストとして、執筆・講演などを精力的に行っている。また「M2JFXアカデミア」の学長も務めている。
2000年ITバブル崩壊、2002年の円急落、2007年円安バブル崩壊など大相場予測をことごとく的中させ話題に。「わかりやすい、役立つ」として、高い顧客支持を有する。
著書に『FX7つの成功法則』(ダイヤモンド社)など
●ツイッター http://mobile.twitter.com/yoshida_hisashi
●毎週動画 http://www.m2j.co.jp/fx_channel/
●FXの学校「アカデミア」https://www.m2j.co.jp/mp/my_fxacademia/
12月が始まりました。12月は、ドル/円の年間値幅平均が3月に次いで大幅な、「一年で2番目にドル/円が大きく動く月」です。そんな12月に、10月末の「黒田緩和2」以降急加速したドル高・円安が、ついに2007年以来になる120円を超える動きになるか、そして円安はいつまで続くのかについて考えてみたいと思います。
◆一年でドル円が2番目に大きく動く12月
10月末の黒田緩和2以降、ドル高・円安は急加速となりました。ただこの動きは、日米金利差では全く説明できないものです。また、ドル高・円安は株高でも説明できる範囲を大きく超えた動きになっています<資料参照>。
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