「夏休み明け、死にたいくらい辛いなら、学校に行くな!」前川喜平・前文科省事務次官が子供たちに呼びかけ

不登校の生徒や、学齢期に学べなかった人たちのために、全国に公立夜間中学を

 前川氏は「福島駅前自主夜間中学」という公立夜間中学で、手弁当での講師もしている。

夜間中学で講師のボランティアをする前川氏

「公立夜間中学」とは、不登校や貧困などを理由に中学で十分に学ぶことができなかった、15歳以上の人たちが夜間に通う学校だ。各地方自治体が経費を負担して運営している。すでに全国に31校あるが、東京や関西に集中しており、東北や北海道には一校もなかった。そこで「東北にも作ろう」と思い立った民間団体が、まず「自主夜間中学」を福島駅前で週1回始めていたのだ。  私塾としてスタートして住民や自治体関係者らに必要性を認めてもらい、税金で運営する公立夜間中学の設立につなげようという”二段階作戦”だが、この活動を知った前川氏は自らボランティア講師を買って出ていたのである。東京と福島を往復する交通費も自腹だという。  前川氏は「人にはいくつになっても学ぶ権利がある。夜間中学は義務教育の最後のよりどころだ」と語る。 「埼玉県川口市や千葉県松戸市、札幌市で公立夜間中学をつくる動きがでています。ぜひ福島市でも動き出してほしい。(全国で12万人いる)不登校の生徒にとって、公立中学のほかに別の中学があることはとても大事です。学校が辛くなったら、行かなくていい。  そして、学齢期に学べなかった子どもたちに教育の機会を与えるために、特別な時間帯に開かれる学校が必要です。私は学びたい人たちが十分に学べる場を作る仕事をしていきたい。前文科事務次官の肩書きがどこまで通じるかわからないが、もしそれがなくなったら『福島駅前自主夜間中学』の前川喜平という肩書きで頑張りたい」(前川氏)  前川氏の発言といえば加計学園問題ばかりに注目が集まっているが、こうした教育に対する真摯な姿勢にも注目していきたい。 <取材・文・写真/横田一>
ジャーナリスト。8月7日に新刊『仮面 虚飾の女帝・小池百合子』(扶桑社)を刊行。他に、小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」に関する発言をまとめた『黙って寝てはいられない』(小泉純一郎/談、吉原毅/編)の編集協力、『検証・小池都政』(緑風出版)など著書多数
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