原田:「アクションプランニング」ですね。アクションを付箋に書き出し、緊急度と重要度によって9つの領域に分けて、目標貢献度に応じた円を描き、わずか15分でバブルチャートを作成するというものでした。
原田:非常に単純ですが、これを行うと行わないのとでは、生産性が全く異なることに気づかされました。人間は脳で整理できる量にある程度制限があり、やるべきアクションが溜まってくると何から手を付けたらよいか分からなくなってしまいます。
原田:そこで、自分のアクションを9つの領域に分けることで、頭の中が整理され、やることが明確になるんですね。几帳面な私にとって、このように頭の整理整頓を行うアクションプランニングは、非常に気持ちの良いものでした。今では、部屋の壁に貼ったり、手帳の空きスペースに書いたりして活用しています。
山口:身に付いたアクションプラニングのスキルは、今後のキャリア実現にとっても役立ちそうでしょうか。
原田:修士課程を修了した後に、私はビジネスパーソンとしてキャリアをつくるつもりです。研究生活においても、ビジネスにおいても、チームで行動することは不可欠です。その際、合意形成力が非常に重要になってくると思う。就活や恋愛にも役立つと思います。
原田:相手の不安点・疑問点をいかに洗い出して、解決し、合意へと導くことができるかで、ビジネスパーソンの価値が決まると思うんです。
原田:その合意形成力をどのようにして高めていくか。私は「習慣化」に尽きると考えています。合意形成力を習慣化することで、自分のキャリアプランを実現したいですね。
山口:そうそうたる受講生の中で、修得した各スキルを満遍なく駆使して、最優秀の成績を修めたことに敬意を表します。最終のプレゼンテーションで最も訴求したかった点はどのような点でしょうか?
原田:「初めは人が習慣を作り、それから習慣が人を作る」という名言があるように、習慣は人をも作り上げます。しかし、習慣は作るまでが非常に難しい。なぜなら人は頭でやろうと考えても、行動に移すことまでしないからです。行動に移さない限り、習慣化することはできないでしょう。
原田:その点、本授業では頭で理解するよりも先に、身に付けたいスキルをパーツ分解し、コアスキルを反復演習するという、行動に移すことで、スキルを身につけることができました。そこで起こした行動が習慣化をより簡単なものとしてくれ、私自身のキャリアアップが実現できそうだと実感できたんです。
原田:最も訴求したかったことは、自身のキャリアプランや、それを実現するためのスキル訓練の内容もさることながら、パーツ行動が習慣化を実現するという構造そのものを活用することが不可欠だということです。
物理工学専攻の原田さんを始め、横浜国立大学大学院工学府の30名ほどの学生の方々が、モチベーションファクターを梃にした分解スキル反復演習型能力開発プログラムを履修した。6つの大学の学生の方々を含めて、年間100社・団体から参加いただき実施しているが、修得度合の高さは随一であった。
その理由は、固定観念がないことにつきるように思える。始めて学ぶスキル訓練が、理屈や理論であえる実践演習であればこそ、身に付きやすいということだ。他の癖や、固定観念や、会社の掟による障碍がないということだ。
分解スキル反復演習は、自らスキル向上し、セルフトレーニングしながら成長し続ける手法でもある。その意味で、ビジネスの世界に入る前にスキルを高めておくことは、極めて有効なことに違いない。
【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第47回】
<文/山口博>
【山口 博(やまぐち・ひろし)】グローバルトレーニングトレーナー。モチベーションファクター株式会社代表取締役。国内外企業の人材開発・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、現職。近著に『
チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月)、『
クライアントを惹き付けるモチベーションファクター・トレーニング』(きんざい、2017年8月)がある