「ドンキ」と「ユニー・ファミマ」がまさかの提携!―― 一人勝ちの「ドンキ」、なぜ総合スーパーを再生できたのか

8月20日に閉店した「ユニー・アピタ中津川店」(岐阜県)。この建物には地場スーパーが出店することが決まっている

 ユニー・ファミマの高柳浩二社長は、8月24日に行われた記者会見において総合スーパーの業態不振について触れ「総合スーパーは建物が大きすぎる」「総合スーパーとしての再生は難しいと感じている」と述べ、新たに総合スーパー約36店舗を閉店させることにも言及。今後は「アピタ」「ピアゴ」の一部店舗(まず6店舗前後)をユニー運営のままドン・キホーテとのダブルネーム店舗に改装し、ドン・キホーテ流の売場を導入。さらに、ユニーグループの総合スーパーの閉鎖店舗をドン・キホーテの店舗ブランド(メガドンキなど)に転換することにも言及した。  老舗総合スーパーも一目置く存在となったドン・キホーテの総合スーパー事業。それは一体どういうものなのか、再確認しよう。

地方総合スーパーの「ドンキ化」で「商圏拡大」

 ドン・キホーテが運営する総合スーパー「メガ・ドンキホーテ」(以下、メガドンキ)は2008年に旧・サンバード長崎屋の総合スーパーを改装するかたちで誕生した新業態だ。  このメガドンキは、 ・ディスカウントストアならではの低価格志向の日用品 ・ドン・キホーテが得意とするバラエティ雑貨や目新しい話題の商品 ・ドン・キホーテ並みの長時間営業(一部除く) ・長崎屋のノウハウを生かした一般のスーパーマーケットと同様の生鮮食品・日用品販売 を特徴としており、簡単に言えば従来の総合スーパーの品揃えも維持しつつ、それに加えて「ドン・キホーテの要素」を大きくプラスした形の店舗だ。  1号店の旧・長崎屋四街道店(千葉県)はメガドンキ転換後に売り上げが3倍になるなど、現在もその多くが転換前よりも好調な売り上げを維持しているという。

ドンキは長崎屋の多くの店舗を「メガドンキ」に転換・再生させた

 この好調の大きな要因が「ドンキ化による商圏の拡大」だ。  もともと長崎屋の店舗は地方都市に立地するものが多かった。そのため、かつて東京都心の象徴的存在でもあった知名度の高い「ドン・キホーテ」の屋号を用いることで商圏が広がり、広域的な集客が可能になったのだ。  もちろん「ディスカウントストア」自体は全国どこにでもある。しかし、メガドンキは大量陳列型の無機質なディスカウントスーパーとは異なり、地方店であっても「アミューズメント性の高い売場」に「首都圏で人気の話題性が高い商品」「ここでしか買えないバラエティグッズや化粧品、サブカル系商品」(代表的なものとしてコスプレグッズ、カラーコンタクト、アニメグッズ、アダルトグッズなど)が比較的安い価格で大量に品揃えされているとあって、わざわざ遠方から時間をかけてくる客も多い。そうした新たな顧客の中心は、これまで総合スーパーにはあまり足を運ばなかった「若者世代」だ。
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無意識に「コト消費」を提供するドンキ
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