8月10日、ブルーエプロンの2017年第2四半期の決算発表があった。(参照:
Blue Apron Holdings, Inc. Reports Second Quarter 2017 Results )
ブルーエプロンは、まだ赤字決算であるので、売上高と顧客数に注目したい。売上高は2.38億ドルで、売上高成長率は前年比+17.9%であった。前の四半期と比べると、売上高成長率は鈍化している。また、ブルーエプロンの顧客数は、前年同期比で23%増加したが、前四半期比では9%減少した。これについて、“Customers increased 23% year-over-year and declined 9% quarter-over-quarter reflecting a planned reduction in marketing of $26.1 million between the first and second quarter.”としており、第1四半期に比較して第2四半期にマーケティング費用を2,610万ドル圧縮した計画を反映したものだという見解をブルーエプロンは示した。
IPOしたばかりの会社がすぐに売上高成長率や顧客数が減少したのは株価下落に繋がった一因であろう。投資家による株の投げ売りに繋がるのだから当然だ。マーケティング費用を削減したら売上高成長率が鈍化し、顧客数が減少するのは、まだお試しユーザーの段階の層が多いのか、あるいは、競合他社にユーザーが流れているのだろうか?
ただ、ブルーエプロンの株価は、6月29日のIPOから下げ続けていたので、8月10日の失望の第2四半期決算発表が下げのきっかけになっていたわけではない。
だとすれば、何がこの株価下落を招いたのだろう?
ブルーエプロンのIPOの2週間ほど前。この日、実は気になるニュースがあった。
6月16日、アマゾン・ドット・コムが米高級スーパーのホールフーズ・マーケットを買収すると発表したのだ。(参照:「
巨人アマゾンと善戦するウォルマート。武器はVRも活用する人材育成とEC戦略」)
このとき、アマゾンが実店舗を持つスーパーマーケットの事業に乗り出すことで、ウォルマートを始めとする既存のスーパーマーケットや小売の事業が脅威にさらされると見られたため、ほとんどのスーパーマーケット、百貨店、小売業の株価が急落した。
アマゾン・ドット・コムによるホールフーズ・マーケットの買収ニュースが、ブルーエプロンの株価へ影響を与えていた可能性はある。
また、アマゾンが7月6日に “We do the prep. You be the chef.” (「アマゾンが用意、あなたがシェフ」)の商標登録を行ったことをCNBCが報道している。(参照:
Amazon files meal-kits trademark, treading on Blue Apron’s turf )
アマゾンは、これ以上ないタイミングで、出る杭を打つ戦略を取ってきたのかもしれない。
<文/丹羽唯一朗>