古代戦士 vs 幻狼!? 古都発のローカルプロレス団体「なら万葉プロレス」

素顔のときでもリングネームで呼ばれるほどの浸透ぶり

 なら万葉は、少しでも多くの人に楽しんでもらうため入場無料のイベントプロレスで大会を開催している。  ボクササイズやダンスを学べるスタジオに満員の観客を詰め込んだ定期戦を開催することもあれば、大型ショッピングモールの吹き抜け広場にリングを設置することもある。  野外会場での開催も珍しくない。天理駅前の古墳モチーフの野外ステージ「コフフン」や、本物の古墳・壁画が眠る国営飛鳥歴史公園での「古墳プロレス」も開催した。  地方で活動するプロレスラーの多くは仕事を別にもち、プロレスに取り組んでいる。それは主宰者のマホロバも同じで、小泉純一郎政権下で民営化された、物流・金融会社に勤めている。  活動を頑張りすぎて「職場バレ」してしまったが、奈良県民なら誰もが知る場所で大会を開催してきた実績が認められ、ストップどころかバックアップを受けられるようになった。  さらに地元のフリーペーパーでは「マホロバとして活動する●●さん」とまで紹介され、素顔の時でもリングネームで呼ばれてしまうこともあるそうだ。  兼業レスラーをプロと認めない声があるのは事実だ。しかし、なら万葉が文化財といえる場所で大会を開催できるのは、レスラーやスタッフがその場所で闘う意義を知り、地元愛と誇りをもつ地元の人間だからこそだ。  マホロバは、ローカルプロレス団体のあり方はメキシコに近いと語る。地元の選手がファンのために闘い、秀でた選手はさらに大きな舞台へ移っていくのだと。  その言葉通り、近年はローカル団体でデビューした選手でも実力が認められ、全国区の団体に移籍するケースが増えている。様々な事情ですぐ東京に行けない選手でも、まず地元の団体でキャリアをスタートできるようになり、裾野が広がっているのだ。  「まほろば」とは「素晴らしい場所」を意味する古語だ。機会があれば、ぜひ奈良で彼らの試合を観て欲しい。奈良のプロレスファンにとっての「まほろば」がそこにある。 <文・たこやきマシン> 【たこ焼きマシン】 名古屋在住のローカルプロレス探求家。ローカルプロレスファンサイトたこ焼きマシン.comスーパーたこ焼きマシン.comを運営。北海道から沖縄、台湾まで未知のプロレスを求め観戦に遠征する。ご当地プロレスラーガイドブック『ローカルプロレスラー図鑑』をクラウドファンディングで発行。オンラインストア。元・小中学校教員、障害者職業能力開発校講師。夢は世界中すべてのご当地プロレスを観戦しての『ワールドローカルプロレスラー図鑑』制作。
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