性犯罪厳罰化により被害者の救済可能性がより広がったが、課題もある
性犯罪に関する刑法が改正され、7月13日から施行開始された。なかでも「強姦罪」は「強制性交等罪」へと名称が変更され、これまでの膣性交だけでなく、肛門性交、口腔性交も対象となり、男性も被害者に含まれることになった。
刑法改正はこれまで戦後の日本国憲法制定に伴う「姦通罪」の廃止と、’03年に発覚した「スーパーフリー事件」をきっかけに「集団強姦罪」が創設されるなどがあった。しかし「強姦罪」の構成要件が改められるのは初めてだ。これは刑法が制定されて以来、110年ぶりの見直しとなる。
「女性と人権全国ネットワーク」共同代表の佐藤かおり氏は「以前から被害者の声があり、支援団体も要望していました。性暴力の被害にあっても、なかなか捕まえてもらえない現状があった。突然、刑法が改正されたわけではありません」と話す。
改正のきっかけは’14年9月、松島みどり法務大臣(当時)の就任会見だ。松島氏は「女性の心身を傷つけ、人生を狂わせる恐れのある強姦が、物を奪う強盗よりも罪が軽い。刑法を改正したい」と述べ、その上で性犯罪厳罰化のための検討会の設置を指示した。同年10月からは法務省の「性犯罪の罰則に関する検討会」で議論が始まり、’17年6月、改正刑法が成立した。
条文は次のとおり。
〈13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交、口腔性交をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。13歳未満の者に対し、性交等をした者も、
同様とする〉
これまでは「姦淫」、つまり、膣性交だけが対象だったが改正によって肛門性交と口腔性交が加わり、男性も被害対象となった。
「これによって、性別にかかわらず同意のない性交自体が性暴力であると明文化したことになる」。