日本人交換留学生が標的に!中国で起きた悪徳医療機関による海外旅行保険詐欺

 事件が発覚したのは、その1年後、ある交換留学生が2年目の留学のため海外旅行保険の更新を申請したところ、保険金限度額を超えているので、次年度の更新はできないと断られたのだ。滞在中、1度も病気になってないのにそんなバカなと調べてもらうと、疾病治療保険金が限度額を超えていることが判明した。  留学生からパスポートを預かった病院Aは、毎月のように色々な病気やケガで入院したとして違法申請していた。加入者本人のサインは、最初の歓迎会で書かせた保険申請書類のサインを真似て偽造していた。  大手保険会社Tは、この病院Aの指定を取り消した。しかし、保険会社Dは、指定を外していなかったために翌年度も保険会社Dで同様の手口を繰り返したという。  さらに詐欺が発覚するとS院長は、病院の名称を変更し、代表者も別の人間に変え、まったく違う医療機関のように偽装工作を施した。  その都市の医療機関では、病院Aはおかしいという話が持ち上がっていたようだが、業界の性質上、あまり横のつながりはなく、個人情報が含まれるためか保険会社から各病院への情報提供もされず、公になることもなく詐欺を数年に渡り続けることに成功してしまったのだ。

主犯のS院長は別名義で詐欺続行とも

 実は、記者は、このS院長が詐欺を行う前年にその都市の日本人向けの医療機関の取材をしたことがあった。院長室へ案内されると聴診器だけが置かれ何もない机が妙に印象に残った。医学書もパソコンもカルテ類もない、おおよそ医師の仕事机とは思えないものだった。    50代のS院長は、以前、別の日本人向け医療機関に雇われ医師として勤務しており、その時代に保険金請求の仕組みを知ったのかもしれない。その後、独立して、詐欺を働く舞台となる病院Aを開く。  現在は、ほぼ主要な保険会社から病院名と個人名の両方でブラックリスト入りされているのでS院長の名義では一切申請はできない。しかし、別人の名義等で現在もその都市で詐欺を続けているとも噂される。  もしS院長が来日するれば逮捕される可能性もあるというが、日本語がまったく話せないこの人物は日本から学ぶことはないから行く必要はないなどと居直っていたという。
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悪用や不正は利用者の負担増を招く
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