勝ち組投資家のポートフォリオを覗いてきた【内藤忍さんの資産運用】

「特に、投資のビギナーに多いのですが、資産の半分以上が現金に偏っているケースが目立ちます。投資の勉強をする時間がなかったり、投資先が見つからなかったりで、資金が放置されてしまっている……。もちろん過剰にリスクを取るのは禁物ですが、取らなさ過ぎでは、せっかくの資金を遊ばせているに等しい。また、円資産への偏りが著しいポートフォリオも多いですね。外貨建ての資産にも分散投資したほうがいいでしょう」  内藤氏のポートフォリオは金融4資産を軸とするが、実物資産である不動産やアンティークコイン、現代アートなどにも投資している点が特徴だ。 「金融資産と併行して、不動産にも投資してます。銀行から融資を受けられる場合、不動産投資の借入れに利用すれば、レバレッジの効いた投資が可能になります。例えば、2000万円の都心中古ワンルームなら、頭金と諸費用を合わせた70万円ほどで買うことができる。つまり、約30倍のレバレッジ。FXで30倍のレバを掛けたら、少し逆に触れただけで大変なことになりますが、不動産投資の場合、物件価格が下がったとしても、家賃収入が継続的に得られれば、そこからローンを返済できる。さらに、35年くらいのローンを組むと、家賃収入のほうがローン返済よりも数千円から1万円多いので、毎月、元本を減らし続けながらキャッシュフローが生まれます。資金に余裕がある人は、日本債券の比率を落として、銀行から融資を受けて、債券を売った分の10倍ほどの不動産を購入するのもいいでしょう。個人投資家は、お金を借りる力を持っているのに有効に活用していない人が多い。借入れにはリスクを伴うが、金利差から収入を得るチャンスでもあるのです」  銀座で個人投資家が集まるワインバーの経営も行う内藤氏だけに、近年盛り上がりを見せるビンテージワインや、アンティークコイン、現代アートなどの実物資産もポートフォリオに組み入れているという。 「このようなラグジュアリーグッズは需給で価格決まるので、供給が増えず需要が増えそうなものを買うといい。ワインなら、ビンテージが決まっていて、生産本数が増えないもの。アンティークコインなら、発行枚数が少ないもの。現代アートなら、海外でも活躍する作家の作品。さらに、投資家がグローバルに存在し、ある程度の流動性があるものに投資するべきです。ただ、こうした前提はあるものの不確定要素が多いので、宝くじ程度に考えたほうがいい。投資配分は全体の10%以内に抑えましょう。目指すべき『期待リターン』は5%なら上出来です。そもそも長期投資が前提なので年5%の利回りは決して小さくないですしね」  分散投資のプロフェッショナルの言葉から学ぶべきことは多い。

内藤 忍さんのポートフォリオ

日本株:20% 日本債券:20% 先進国株:15% 新興国株:15% 外国債券:10% REIT、コモディティなど:20% 日本株、先進国株、新興国株が合わせて50%を占めているが、「株式はボラティリティが大きいので、全体の半分にとどめている」(内藤氏)のが理由だ。また、投資が内外にほどよく分散されているのも、為替リスクを考慮してのこと。「通貨別では外貨資産が4割にとどまるよう調整しています」(前同)。ビンテージワインやアンティークコイン、現代アートは最大で10%に制限している

賢人のポート3か条

・儲けよりリスクコントロール ・外貨資産は資産の半分を目標に ・実物資産は最高でも1割まで 【内藤 忍氏】 資産デザイン研究所代表取締役。東京大学卒、MITスローンスクール卒(MBA)。大手金融機関勤務を経て、マネックス証券の創業に参加。『初めての人のための資産運用ガイド』(ディスカヴァー21)は17万部のベストセラー。無料メルマガは読者3万人の人気 ― 勝ち組投資家のポートフォリオ大公開 ―
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