今秋ユニクロも進出するバルセロナがあるカタルーニャ州の独立運動、いよいよ「州民投票」実施か?

 そのような状況が続いていた最中、カタルーニャ州政府は頑固に州民投票の実施を諦めることなく、ついに10月1日に州民投票を行うと突如発表したのである。  それに対してスペイン政府は州民投票は絶対にさせないと主張を繰り返すだけであるが、報道メディアではスペイン政府はそれを阻止するために二つの手段を検討しているということを指摘するようになっている。  一つは憲法155条を使って、スペイン政府がカタルーニャ政府の自治機能を停止させることである。この条項には自治州が憲法に規定された義務を満たすことをせず、それが国家の統一を阻害する行為に繋がると判断された場合には、スペイン政府はまず該当する州知事にそれを勧告。それでも正されない場合は上院で過半数の賛成議席をもって自治州の機能停止を実行することが出来るというものである。  もう一つは2015に法制化されたもので、<州民の権利と社会保障を守る為に、スペイン政府が自治州の公的機関及び警察機能などをスペイン政府の管轄に移管させることができる>というものである。スペイン政府はこの二番目の手段を選択することを検討しているとメディアは報じている。155条を使うと上院に審議を掛けねばならなくなり、即座の対処が出来なくなる。二番目のほうは首相の判断で即決が可能であるというのがその理由だ。(参照:「El Mundo」)  スペインのフェリペ・ゴンサレス元首相はアズナール元首相も155条の適用を支持している。サパテロ前首相は州民投票そのものが意味がないとして、政治的な解決のほうを依然支持している。  そして、スペインの国民はというと、<46.9%のスペイン人は独立を問う投票には賛成している>が、それは<スペインの有権者全てが投票すべきだ>として州民投票ではなく、国民投票の実施を要望しているのである。また、カタルーニャ自治州の機能停止については<スペイン人は44.8%が支持し、カタルーニャでは14.9%がそれを支持>しているだけである。(参照:「El Confidencial」  カタルーニャの独立問題が発端となって、独立すれば欧州連合からカタルーニャは離脱を余儀なくさせられる。また、共同通貨も使用できなくなる。よって、統一市場の仲間入りが出来なくなることを懸念して既にカタルーニャから企業の撤退が相次いでいる。この5年で4700社がカタルーニャから撤退している。一方で、カタルーニャに進出している企業もある。ユニクロも今年10月からバルセロナに進出だ。しかし、絶対数から見れば、最近5年間でカタルーニャから実質1700社が姿を消しているのである。 <文/白石和幸> しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営する生活。バレンシアには領事館がないため、緊急時などはバルセロナの日本総領事館の代理業務もこなす。
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営から現在は貿易コンサルタントに転身
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