嘘は本格的なスキルがないと見抜くのは難しい
こんにちは。微表情研究者の清水建二です。
本日は微表情学の番外編、ウソのサインのウソ・ホントをお送りいたします。
唐突ですが、みなさんはウソを見抜くことができますか?ウソを見抜くのは得意ですか?「今、ウソをついたな。」と思うとき、何を感じて判断しますか?
ウソつきは…目が泳ぐ、瞬きが増える、顔や鼻に触る、声のピッチが高くなる、回答がためらいがちになる等々、そんなサインを挙げられたかも知れません。
ウソのサインは、100年以上にわたって世界中の心理学者らによって探究されています。純粋な学問的探究心からだけでなく、犯罪捜査などの実用的な要請に応じて数多くの研究がなされ、数多くの知見が重ねられています。
今回は、こうした知見の中から判明したウソのサインのウソ・ホントを表情やボディーランゲージといった非言語サインに焦点を当てて紹介しようと思います。
冒頭に挙げたサインのうち、真にウソのサインだと実証されているサインは、声のピッチが高くなる、回答がためらいがちになる、だけです。他にもウソのサインとしてこれまで実証されているものとして、手振り・身振りが少なくなる、瞬きが少なくなる、口を一文字にする、特定の微表情が起こる、というものがあります。
意外に世間で耳にするウソのサインは、真のウソのサインではないことが多々あるのです。これはなぜでしょうか?真のウソのサインでもないのにウソのサインと誤解してしまうのかを一言で言ってしまえば、それは概ね、緊張のサインをウソのサインと取り違えてしまうから、です。
確かにウソをつくときというのは大抵、「自分のウソがバレてしまうんじゃないだろうか?」と緊張します。一方で、本当のことを話していても「自分の話が信じてもらえないのじゃないだろうか?」と緊張します。
こうした中で、ウソの有無を判定しようとする側に「この人のウソを必ず見抜こう」というモチベーションがあると、会話も詰問調になり、相手の緊張度は高まり、緊張のサインは増加します。そして判定者はその緊張のサインをウソのサインに変換してしまい、間違った判定をしてしまうのです。
ところで、私たちのウソを見抜く精度はどれくらいあると思いますか?実は、54%ということがわかっています。ウソか本当かはヤマ勘でも50%の確率で言い当てることが出来るため、私たちの能力はほぼチャンスレベルということになります(ちなみに表情分析の第一人者であるポール・エクマン博士のウソ検知の精度は90%だと言われています)。
ほぼチャンスレベルの精度にも関わらず、緊張のサインをウソのサインだと取り違えてしまっては、状況は悪化するばかりでしょう。