アルジャジーラがアラブ諸国の指導者から嫌われる理由

 カタールと断交したサウジアラビア、アラブ首長国連邦、エジプト、バーレーンがカタールに要求した13項目の中に衛生放送局アルジャジーラの閉鎖が盛り込まれていた。  サウジアラビアは世界報道自由度ランキング180か国の中で168位、アラブ首長国連邦119位、エジプト161位、バーレーン164位とそれぞれあまり高くない位置にランキングされている。この4か国にも視聴者を持つアルジャジーラが1996年に報道の自由を謳ってカタールに登場したのである。  報道の自由の少ないアラブ諸国でアルジャジーラが産声を上げた時から問題を引き起こす放送局になるというのは自明のことであった。  アルジャジーラがカタールで登場した1996年に、サウジアラビアでアルジャジーラと同様の主旨をもってBBC Arabicが誕生した。しかし、報道に自由度の欠けるサウジアラビアでは誕生から2年後にサウジ政府の圧力もあって閉鎖を余儀なくさせられた。  そこで、アルジャジーラはBBC Arabicで活躍していたタレントのあるジャーナリストを早速雇用したのである。その為の資金はカタール政府から出た。この時点からアルジャジーラは飛躍して行くのである。

アルジャジーラ飛躍の3つのきっかけ

 アルジャジーラが世界レベルで注目を集めるようになった出来事には3つある。ひとつは、2001年9月11日に起きたニューヨーク同時多発テロの後、アフガニスタンでアルカーイダのビン・ラデンと会見し、彼らがビデオや情報を唯一提供した相手がアルジャジーラであった。そして、アルジャジーラはそれを常に報道した。この報道の挙に出たことからアルジャジーラはテロリズムを支援していると批難された。  2つ目には2003年の米国と英国主導によるイラクへの武力介入で、イラク側にも主眼を置く報道も心掛けた。  3つ目は2010年からアラブ圏に起きた大規模な反政府デモ「アラブの春」であった。特に、エジプトで圧政に不満が溜まっていた若者の声をアルジャジーラは伝えた。それがムバラク政権の崩壊を導いたのであった。それを当初から詳細に報道し続けたのがアルジャジーラであった。  この崩壊を正当化させるかのように、アルジャジーラのディレクターだったワダ・カンファーは<「当時のエジプトの若者が理想とすることの伝道者としてアルジャジーラは独立した声となったのである」>と述べている。(参照:「La Conexion USA」)
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サウジやイスラエルが嫌った「イラン擁護」姿勢
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