女性活躍を阻む「中間管理職の“粘土層”」って?

――では、女性が活躍できるよう、どう上司は具体的に支援すればいいのでしょうか? 太田:そもそも女性が活躍できる職場は多様な人が活躍できる職場だと、私は思っています。  そんな風通しのよい職場に共通するのは、「挨拶」と「プラスアルファの声かけ」を上司自ら部下に対してやっている。「プラスアルファの声かけ」とは、例えば「昨日は遅かったみたいだけど大丈夫?」、「今日は○○の打ち合わせがあるけど頑張ってね」など、相手を気遣った一言です。  上司の中には「言わなくても伝わるだろう」と思っている人が多いのですが、今の若い社員は、言葉にされて初めて「気にしてもらえているんだな」と気づく場合が多いようです。 ――指導の仕方は男性社員と女性社員で言い回しを変えたほうがよかったりするのでしょうか? 太田:いえ、指導やマネジメントのシーンでは男女の区別は必要ありません。  ただ、部下個人に合わせた“配慮・気配り”は必要です。今後のキャリア観だって十人十色。個人の価値観や将来の目標など、キャリアに関わることも定期的に話し合うとよいのではないでしょうか。  では、女性部下の能力を伸ばすにはどうすればいいのかというと、例えば「今まで任せていなかった業務を任せてみる」など、仕事の面で評価し、活躍の場を広げ、やりがいを作ってあげることは重要です。  実際に聞いた話だと、ずっと事務職だけを任されていた女性に、「顧客に対し、電話でのコミュニケーションを通じて、新たなサービスを提案する」という、本来は営業の領域である任務をアサインしたところ、それが非常にうまくいっているそうです。「経理といえば、女性だよね」ではなく、「個人の能力を活かそう」という意思が大事なんです。 ――経理は女性。確かに、そういった先入観や偏見はまだ残っているかもしれません。 太田:「アンコンシャス・バイアス」というのですが、”無意識の偏見”が企業社会にまだはびこっているんですよね。地方に行くとさらに顕著に感じます。お客さんや社員へのお茶出し、観葉植物への水やりなんかも、無意識に女性にやらせてしまっている企業が多いのではないでしょうか?  これから企業は優秀な女性が、きちんと活躍できるよう、男性と平等にチャンスを提供しなければなりません。キャリアを積んでいきたい女性にとっては、なにからなにまで完璧を期待される「良い女」でいることまで求められるというのは、辛いものがありますよ……。
次のページ
中間管理職の”粘土層”にご用心!
1
2
3
バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会