孫正義が10億ドル出資した衛星インターネット計画「ワンウェブ」、あれからどうなった?

ワンウェブは約700機の人工衛星で地球を覆い、全世界にインターネットを提供しようという壮大な構想である Image Credit: Airbus D&S/OneWeb

連邦通信委員会(FCC)から米国で事業を行うための承認を取得

 ワンウェブの新たな動きのひとつは、6月22日に米連邦通信委員会(FCC)から、米国で事業を行うための承認を取得したことである。  FCCは米国の放送や通信事業の監督を行っている政府機関で、テレビやラジオ放送をはじめ、インターネット通信も、このFCCの認可がなくては事業ができない。  ラジオや無線インターネットが使う電波は、目に見えないながらも、土地のように「ある企業が使ってよいのはここからここまで」という、使用できる電波の領域(帯域)について区切りが設けられており、通信が混線しないように配慮されている。  ワンウェブが電波使用の申請をFCCに提出したのは1年以上も前のことで、700機もの衛星を打ち上げて、KuバンドとKaバンドという、比較的高い周波数帯の電波を使ってインターネットを提供するとしていた。それが今回、ようやく認められたことになる。  電波が使える範囲というのは、まさに土地のように限りがあるため、承認を早く取ったもの勝ち、あるいは”電波利権”という言葉も存在するほど、なかなかにシビアなところがある。  ワンウェブが他社に先駆けて承認を受けたことは、この分野において先手を打ったということになる。もっとも、電波は限られているとはいえ、ワンウェブだけで独占できるほどではないため、まだスペースXなどの競合他社が入り込める余地は十分にある。  今回承認を出したFCCも、「他の衛星インターネット計画の申請も引き続き検討している」とし、また「企業が増えれば増えるほど、競争が起こり、消費者にとってはメリットが大きい。今後、より多くの衛星インターネット計画を承認することを望んでいる」という発言が出ている。

人工衛星の製造がついにスタート

 さらに6月27日には、ワンウェブのシステムを形づくる人工衛星の、最初の一群となる10機の製造が始まったことが発表された。  衛星の製造は、欧州の大手航空宇宙メーカーのエアバスの、防衛・宇宙部門エアバス・ディフェンス&スペースが担当する。ちなみにエアバスは、ソフトバンクなどとともにワンウェブに出資している企業のひとつでもある。  エアバスはワンウェブの衛星製造のために、本拠地であるフランスのトゥールーズに新しい工場を建設。ここで組み立てから仕上げ、試験までを一貫して行うことができる。さらに最先端の自動化技術を採用し、流れ作業のように衛星を次々生産することができ、組み立て時間の短縮やリアルタイムでの異常の検出や修正など、効率的な生産を可能にしている。  現在トゥールーズで生産中の最初の10機の衛星は、順調にいけば今から9か月後、つまり2018年の初頭には打ち上げができるようになるという。さらに工場がフル稼働すれば、21日ごとに新しい衛星を打ち上げられるようになるといい、全世界インターネット網の構築に必要な720機と、予備機とあわせて約900機もの衛星を、この工場で生産することになるという。  なお、昨年ソフトバンクなどから計12億ドルの出資を受けたことで、米国フロリダ州にも衛星の製造工場が造られることになっている。
次のページ 
ついに動き出した衛星インターネット
1
2
3
PC_middleRec_left
PC_middleRec_right
関連記事
PC_fotterRec_left
PC_foterRec_right