巨人アマゾンと善戦するウォルマート。武器はVRも活用する人材育成とEC戦略

ECベンチャーの積極的買収

 小売業の中で、ウォルマートは電子商取引に積極的に取り組んでいる方で、インターネット通販を急拡大している。ネットで注文して店頭で商品を受け取るという、店舗網を活用したやり方で、販売を伸ばしている。したがって、アマゾンによるホールフーズ・マーケット買収による影響、すなわち、「やられ」は小売業の協業他社と比較して少ないのである。  2016年9月、ウォルマートは、会員制のECマーケットプレイス「Jet」を運営するジェット・ドット・コムを33億ドルで買収している。(参照:Wallmart)  その後、ジェット・ドット・コムを通じて、レディースファッション、アウトドア、靴などのネット通販企業を次々と買収した。2017年6月16日、ウォルマートは、男性向け衣料品ネット販売の「ボノボス」を3億1000万ドルで買収すると発表した。  ウォルマートCEOの Douglas McMillon 氏は前出の四半期決算報告書に、“We’re moving faster to combine our digital and physical assets to make shopping simple and easy for customers.”(ウォルマートは素早くデジタル資産と物理的な資産を結びつけ、顧客のショッピングをシンプルかつ容易にする。)と記している。

従業員教育の「ウォルマートアカデミー」

 ウォルマートは、電子商取引に注力するだけでなく、全米で150万人とも言われる豊富な人的リソースの活用にも注力している。  その一つが、「ウォルマートアカデミー」という、顧客サービスを高めていくことを目的とする集合研修である。そこで、従業員教育のやり方を変更するとともに、従業員教育にも力を入れているのだ。  ウォールマートのリリースによれば”(参照:Wallmart)、2017年4月17日、ウォルマートは、オクラホマ州エドモンドにある米国での100回目のトレーニングアカデミーの開会式を祝ったこと、ウォルマートのトレーニングアカデミーは2016年に導入され、40州に拡大したことが記されている。カリキュラムでは、顧客サービスマネージャー、オンライン食料品店のピックアップ、アシスタントストアマネージャーなど、65を超える職位をカバーするトレーニングが展開されている。社員は、クラスルームとセールスフロアでの練習の組み合わせにより訓練され、トレーニング教材はタブレットコンピュータを含む技術やクラウドストレージなどが活用されている。  また、トレーニングでは、VR(バーチャルリアリティ、仮想現実)の技術も活用されている。ウォルマートは、VR会社、STRIVR社と協業し、360度動画(30秒から5分程度)を用いた社員の育成プログラムを30以上のウォルマート・トレーニングセンターで展開。様々なシナリオを想定し、カスタマーサービス、マネージメント、ブラックフライデーラッシュなどを体験し、社員の判断力を高めることを目的としている。(参照:VRFocus)  ウォルマートCEOのDouglas McMillon氏は、“これらの投資は、より清潔な店舗、より親切なサービス、より迅速なチェックアウト時間を通じて顧客サービスを高める”と言っている。  ECや人材育成でも最新の技術を取り入れ、攻めの姿勢で有り続ける。ウォルマートの取り組みは、他の小売業者にとって、対アマゾンへの戦略のヒントになるかもしれない。 <文/丹羽唯一朗 photo by Walmart via flickr(CC BY 2.0)>
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