中国で広がる南北格差。同じ中国でも地域によって日本人の生活環境に大きな差が

大連と深センで異なる就労ビザへの意識

 たとえば、遼寧省の大連と広東省の深センで比べてみても就労ビザの認識がまるで違う。この数年、中国全体で各種ビザ取得が厳格化されており、北の大連では会社経営者の日本人はもちろん、短期出張者も出張ビザを取得するなどビザに対して非常にセンシティブになっている。ノービザで滞在する日本人は旅行者くらいという状況だ。  一方で南の深センでは、ノービザで滞在しながら会社を経営する日本人も少なくない。中国にノービザで滞在できる15日の間で香港や東南アジアへ出国するためその繰り返しで長期滞在をしているのだ。香港や東南アジアが近いなど環境面の違いも大きいが、2年前に大連から深センへ拠点を移した日本人経営者は、大連と深センの違いに驚いたと話す。

香港へのビザランができる深セン・羅湖口岸(イミグレーション)

「深センの日本人たちでビザについて話題になることがなく、ノービザで会社を経営している人も少なくないことに驚きました。地理的な要因もあってか全体的に皆さん腰が軽く、興味があるビジネス話があれば、ちょっとタイへやシンガポールへ飛んでいくという感じで同じ日本人で中国でも都市が違えばこうも違うのかとビックリです。私のように大連や青島から深センへ転居してきた人が周りに複数います」(システム開発企業の日本人経営者)  ビザの話題が出ないということは、当然ながらランク制度についての話題もあまり出ないそうだ。ちなみに大連と深センを比べると家賃を始め物価は1.3~1.5倍くらい深センのほうが高いが、それでも深センの方が雰囲気が明るくてストレスが少ないそうだ。
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南を目指す日本人!?
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