広がる「地域新電力」。地元産発電はまるで電気の「道の駅」

自治体や市民生協などが経営に参画

 市場に参入した300社以上のうち地域新電力はまだまだ少数で小規模ですが、主要な会社としては、泉佐野電力、とっとり市民電力、浜松新電力、はりま電力、中之条新電力、水戸電力、鹿児島電力、北上新電力、湘南新電力、みやまスマートエネルギ、やまがた新電力、和歌山新電力―などがあります。  地域新電力の経営の主体は自治体や市民生協などです。太陽光、風力、地熱、バイオマスなど「地場エネルギーを活用した町おこし」や災害時の非常用電源の確保に役立つ電力システムが狙いです。地域のエネルギーで発電した電気を地域で消費すれば、雇用も増え地元でお金が回りますから、一石二鳥あるは三鳥の地域活性化効果が得られます  再生エネルギープロジェクトには大きく分けて ①日照時間の長い地域の太陽光発電を核にした取り組み ②通年で風が強いところでは風力発電を核にした取り組み ③森林資源の豊富なところでは、木質バイオマス発電を核にした取り組み ④これらを複数組み合わせて、環境負荷の低い電気を利用する取り組み の4つがあります。自分の支払っている電気代が地方活性化に役立っていると思うと、嬉しくなりますね。  再生可能エネルギーの電気は供給が不安定でコストが高く難点はありますが、地方創生プロジェクトとして取り組む自治体が増えてきています。国や県の支援や補助を利用して「身の丈に合った」再エネ事業として期待が膨らんでいます。  まだ広く一般消費者に届くほどの規模ではないですが、地元の人たちが協力しあって地場エネルギーを活用して地方創生を目指す「地域グリーン電力」に注目です。地元産品の販売やB級グルメなどがんばる「道の駅」にどこか似ていると思いませんか。 <取材・文/藤森 禮一郎> ふじもり れいいちろう●フリージャーナリスト。中央大学法学部卒。電気新聞を経て2010年より現職。電力問題のコメンテーターとしてテレビ、雑誌などでも活躍中。主な著書に『電力系統をやさしく科学する』、『知ってナットク原子力』(いずれも電気新聞刊)など多数。 <記事提供:ファイナンシャルフィールド> ※ファイナンシャルフィールドでは、今回の記事のほかにも下記のような記事を掲載中 ・新興国株や新興国債券への投資は、ハイリスク・ハイリターンなのか?4月から保険料がアップ。どう対策すればいい?60歳過ぎの退職。老齢年金と失業保険、どちらを選択するか
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