パチスロ旧基準機の年内完全撤去は絶対にありえない、その3つの理由

まことしやかに囁かれる旧機撤去の噂を斬る!

 パチスロファンの中で、旧基準機が年内には完全に撤去されるという噂がまことしやかに広がっている。パチスロの旧基準機とは、専門的に言えばAT・ARTをサブ基盤で管理しているパチスロの事であり、現在、パチンコホールに設置されているパチスロ機の中では、一番出玉が見込める遊技機である。 「ゴッド凱旋」、「ハーデス」、「沖ドキ!」、「バジリスク絆」、「まどマギ」等(スロットファンにしか分からない名称ではあるが……)の、客にも人気があり、ホールの収益も見込めるパチスロの主力機はほとんどが旧基準機であり、この旧基準機の撤去は、ホールにとって死活問題なのである。  なぜそのような話になっているのか。  政府がギャンブル等依存症対策法案を検討していくなかで、パチンコ業界を主管している警察庁は、パチンコ・パチスロの射幸性(≒ギャンブル性能)の抑制を対策の柱として掲げている。そんな折、警察庁がパチンコ業界の主要団体を呼び出し、パチスロ旧基準機の撤去スケジュールの変更を要請したことが噂の発端。  そもそもパチンコ業界では、射幸性の高いパチスロ旧基準機の設置比率を段階的に下げていく事を自主規制として合意しており、2017年12月1日には、ホールのパチスロ総設置台数に対して30%まで設置比率を下げることを既に決定している。その上での、警察庁からの目標変更要請である。「30%が駄目なら0%しかない」となるのも理解できなくはない。  しかし筆者は、このパチスロ旧基準機の年内完全撤去の可能性はゼロだと考えている。その根拠について解説したい。  パチスロ旧基準機の設置比率低減の自主規制を発表したのは、全国のパチンコホールのほとんどが加盟している、全日本遊技事業協同組合連合会(以下、全日遊連)である。  その全日遊連は、今回のパチスロ旧基準機の撤去問題について、消極的な反応を隠していない。6月1日に行われた意見交換会では、理事長自らが「昨年末のパチンコ機の撤去では ベースの問題という明確な根拠があった。しかし、パチスロ高射幸性機の減台について、ホールには何が問題なのか、なぜ外さなければいけないのかという疑問が根底にあると思う」と発言している。 「昨年末のパチンコ機の撤去」とは、遊技くぎの問題で所謂MAX機を中心としたパチンコの高射幸性遊技機が昨年末までにすべて撤去された問題のことである。実は、このパチンコMAX機の撤去問題に対する業界のトラウマが、今回のパチスロ旧基準機全撤去の噂の真実性を高める要因にもなっている。  ただ昨年のパチンコMAX機の撤去問題には、遊技くぎに関わる法的な問題(違法行為)の可能性が内在しており、警察庁もその点を重々承知しながらの撤去要請であったが、今回のパチスロ旧基準機全撤去に関わる問題には、遊技機を撤去する(撤去せざるをえない)法的な根拠が皆無と言っていい。ホールが撤去しなくても、何ら罰則を受けるものではないのだ。まして法的な根拠のない撤去を、全国のパチンコホールが受け入れる可能性は低く、無理矢理な自主規制ではかえって混乱を招く恐れもある。  よってパチスロ旧基準機の年内全撤去を全日遊連が承諾するとはほぼ考えられないし、そんな全日遊連に対し、まして警察庁が強制性を持っての指導をするのは現実的には不可能である。
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「射幸性は高いが違法ではない」という壁
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