中国アリババがアルゼンチン政府の公認サイトに。対中輸出に活用

マクリ大統領の目指す輸出競争力回復

 これまで、アルゼンチンの輸出競争力が劣っていた理由は、8年間のフェルナンデス前大統領政権時のインフレで、輸出する代わりに国内への供給を優先させて供給過剰を誘発させようとしたことであった。そして、インフレを抑えるという政策を実施していたのである。これに対して、生産業者は商品を国内に十分に供給するのではなく、逆に生産量を減らすという選択を選んだのであった。それは政府の思惑とは反対の結果を生んだのであった。しかも、輸出に課税をするという想像できない手段をフェルナンデス前大統領は実施していたのであった。この馬鹿げた市場原理を無視した政策で、アルゼンチン製品の輸出競争力は全体的に相当に落ちたという。  昨年末に大統領に就任したマウリシオ・マクリはそれを全廃して輸出を促進させる方向に向かっている。アリババを支援するのも輸出を増大させる為の一つの手段である。  アルゼンチンのワイン市場は低迷している。現在<864社が存在しているが、最近6年間で120社が廃業>しているという。(参照:「iProfesional」)  その中で、現在<130社が中国市場に少量だが輸出>している。それは中国市場において僅かに<1%シェアーでしかない>という。  現在の世界へのアルゼンチンワインの輸出は<10億ドル(1120億円)>であるが、<<2020年までには20億ドル(2240億円)まで増やす>ことを目標にしている。(参照:「iProfesional」、「iProfesional」)  食肉については、先ず牛肉から始めて鶏肉なども加えて行くとしている。6年前に中国に最初に輸出して以来、<2000万キログラム、金額にして7700万ドル(86億円)>を輸出している。(参照:「iProfesional」)  アルゼンチンには輸出認定加工工場が<18か所>あるが、中国向けはヨーロッパ市場向けとは異なり、品質で安価な肉を求める傾向にあるという。例えば、ドイツ市場向けだと<トン当たり11000ドル(123万円)>の肉を求めるのに比べ、中国向けは<4000ドル(45万円)>の肉を求めるとしている。(参照:「iProfesional」)  アリババのネットをアルゼンチン政府の公認ネットとして正式に開始するのはマクリ大統領の5月中旬の中国訪問に合わせるとしている。  一方、アリババは将来的にラテンアメリカ市場での拡大を視野に入れるべく、アルゼンチンにアリババのオフィスを構えることを検討しているという。アリババにとっても、今回は試験的な取り組みであり、うまく展開すれば、アリババの彼のスタッフをアルゼンチンに連れて来てアルゼンチン企業との更なる伸展やまた投資についても検討したいという考えでいるとしている。 <文/白石和幸 photo by 林鼎皓 via flickr(CC BY-SA 2.0) > しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営する生活。バレンシアには領事館がないため、緊急時などはバルセロナの日本総領事館の代理業務もこなす。
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営から現在は貿易コンサルタントに転身
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