「7億円詐欺」山辺節子容疑者が“つなぎ融資”以外に利用していた騙しの手口

「2015年9月に、突然『金融のつなぎ融資の案件なので、40%のリターンになるけど出資しないか?』と山辺から連絡が来たんです。それも急ぎだから、銀行振り込みでOKと。このときのメールのやり取りと、送金記録が決定的な証拠となって、警察が逮捕に動いてくれたんです」(同)

ある被害者は、40%の利回りが得られる緊急のつなぎ融資案件を提示されて3000万円を出資。その際のメールのやり取り

 さらに、もう1人の被害者が山辺容疑者との会話をこっそり録音していた。この2つの証拠が残る案件の被害総額が「7000万円」に達したため、逮捕に至ったというわけ。  だが、山辺容疑者にはさらなる余罪がある。実は「カジノ船」をエサに追加の逃走資金を集めていたのだ。 「40%のリターンが発生する案件でお金を集めた山辺はその直後に、行方をくらませました。そこで、私はようやく詐欺に気づいた…。それからは、ほかの被害者と連絡を取り合って山辺の行方を追いました。山辺と近しい人物にも手当たり次第にコンタクトを取りました。その結果、昨年10月に山辺に直接会って、返金を迫る機会が得られたんです。山辺は『自分も被害者だ。仲間に裏切られたので、すぐには返せない。3か月、時間をくれ』と弁解していました。けど、私が『あなたの言う投資話がまともだったら、私の知り合いの社長も片手ぐらい(5000万円)突っ込みたいって言ってたのに』と漏らしたら、山辺がニタ~っと笑ったんです。別れ際には、『もう1回だけ連絡させて』と言われました。それから2週間ぐらいして、東京のシャングリラホテルで山辺から聞かされたのが『カジノ船』。早くカネ返せと迫っている人間に、よくそんなインチキ臭い話ができるなと山辺の面の皮の厚さに呆れましたよ……」(同)  そのときに見せられた資料が下の写真だ。「事業計画案」を見ると、乗客店員600人のカジノ船の1か月の売上は“現状実績”で30億円。平均利益率は30%だそうで、月の利益は9億円前後に達する、と記されている。

山辺容疑者がつなぎ融資に代わる“新たな詐欺”の手口に利用した、実在する「カジノ船」事業のプレゼン資料

「山辺はみんなから集めたお金で、このカジノ船の営業権を『すでに買ってある』と言っていました。これから本格的に運航させるから、そのための資金を出してくれたら大きなリターンを出せると。IR法案が国会を通過したけど、実現までには時間がかかる。会場は違う封建だからカジノが合法的にできるんだと、もっともらしい説明もしていました」(同)

カジノ船の事業計画。実際にカジノ船を運営する米国企業の資料をそのまま使っているため、具体的な数字が並ぶ

 実は、このプレゼン資料は実在するアメリカの会社のもの。同社が運営しているカジノ船も香港などに実在する。山辺容疑者はこれを丸パクリしてカネ集めに利用していたのだ。早くからこの詐欺事件を取材してきた犯罪ジャーナリストの小川泰平氏が話す。 「アメリカの会社に確認すると、予想通り、山辺など知らないという回答でした。もちろん、日本人が個人で、カジノ船の営業権を買った事実もないと。完全にデマかせです。ただ、私の取材した被害者のなかに、1人だけこのカジノ船に1000万円出資してしまった方がいました。やはり山辺は焦っていたのか、このときも振り込みにしています。証拠があるだけに、この案件でも立件される可能性は高いでしょう」  ご存じのとおり、山辺容疑者は被害者からせしめたお金を使って、フィリピン、タイで豪遊していた。特にフィリピンではホストに入れあげて、コンドミニアムやポルシェ・ボクスターなどまで援助。前出の50代経営者は「ホストの家族の生活資金まで面倒をみていると聞かされた」という。そのために、山辺容疑者は月に1度はフィリピンに渡航。“ハンドキャリー”で毎回1000万~2000万円の現金を持っていくことも自慢げに語っていたとか。  果たして、つなぎ融資の女王の犯行はどこまで明るみになるのか……? カジノ船まで捜査のメスが伸びるのも時間の問題だろう。 取材・文/池垣完(本誌)
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