面接官自身が、自分の表情・感情にも意識的になってみる
また面接官が自身の表情・感情に意識的になることも大切です。自分の感情に意識的になることで直観力に磨きをかけることが出来ます。
患者の自殺願望の有無を医師が判定している様子を撮影し、医師の表情を観測した実験があります。
この実験によると、医師は患者の自殺意図を偶然レベルを上回る確率で判定することが出来なかったのですが、自殺願望のある患者を診断している医師の表情は、自殺願望のない患者を診断しているときに比べ、眉が引き下げられ厳しい表情になっていたことがわかっています。
「眉が下がる」表情の動きの意味は、熟考です。つまり診断中の医師の表情は「この診断もっと熟考せよ」と医師自身に語りかけていた、もとい、医師は無意識下ではそう感じていた、と解釈することが出来ます。
これを採用面接の場面に置き換えてみましょう。
自分の表情変化に無意識だと「この応募者の言動をもっと熟考せよ」という自分の無意識下からくるサインを意識の上に持っていくことが出来ず、深堀すべき質問ポイントを見逃してしまうかも知れません。
しかし、自分の表情筋の変化や感情の波に意識を向けることで、自分が応募者の言動に対してどんな判断や想いを抱いているかが明確になります。こうすることで熟考ポイント=深堀質問ポイントを逃す可能性を低めることが出来るだけでなく、ややもすると応募者に対して抱いてしまっている偏見に気づき、公平な判断をするキッカケをつかむことが出来るのです。
これから就職活動が本格化します。理性的に考え抜いても、どの応募者を採用したらよいのかわからないとお思いになったら、応募者と自身の感情と表情の変化を見つめてみて下さい。応募者の着飾らない真の姿が浮かび、ご自分の直観力に磨きをかけることが出来るでしょう。
<文・清水建二 写真・
ぱくたそ>
【清水建二】
株式会社空気を読むを科学する研究所代表取締役。1982年、東京生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、東京大学大学院でメディア論やコミュニケーション論を学ぶ。学際情報学修士。日本国内にいる数少ない認定FACS(Facial Action Coding System:顔面動作符号化システム)コーダーの一人。微表情読解に関する各種資格も保持している。20歳のときに巻き込まれた狂言誘拐事件をきっかけにウソや人の心の中に関心を持つ。現在、公官庁や企業で研修やコンサルタント活動を精力的に行っている。また、ニュースやバラエティー番組で政治家や芸能人の心理分析をしたり、刑事ドラマ(「科捜研の女 シーズン16」)の監修をしたりと、メディア出演の実績も多数ある。著書に『「顔」と「しぐさ」で相手を見抜く』フォレスト出版、『
「顔」と「しぐさ」で相手を見抜く』(フォレスト出版)、『
0.2秒のホンネ 微表情を見抜く技術』飛鳥新社がある。
※面接官にも研修をする本記事の著者、清水が、就活生に採用面接時に使える面接官の微表情の読みとり方と感情の適切な扱い方をテーマに5月14日(日)(株)ディスコ様主催のキャリタス就活2018 in 東京ビックサイトにて講演いたします。
清水の講演は、セミナーB会場【面接LABO】で10:00~11:00及び11:30~12:30の2回行われます。
面接官のホンネのつかみ方を知りたい方、感情を使ったオリジナル回答の作り方を知りたい方は、5月14日(日)に東京ビックサイトにぜひお越し下さい。お申込みは
こちらよりお願いします。