あと、大会とは直接関係はないが、大会前日の8日の瀋陽-平壌便が7時間近く遅延して、平壌へ到着し、ホテルへチェックインできたのは午前0時を回り大会当日になるというトラブルがあった。当初、遅延理由は、機体トラブルと説明をしていたが、後日、手配代理店へ確認すると、どうやら臨時便を飛ばした北京-平壌便がオーバーブッキングしていて乗れない人が出たため北京から瀋陽まで移動させるのに時間がかかり大幅に遅延したことが判明した。
東京から参加した日本人男性は、「スタートして大同江にそって平壌の賑やかな場所を自分の足で走ることができました。折り返し時点まで走るとそこは郊外で、汚水処理場が近いのか鼻につく匂いがすごかったのですが、逆に普通の観光では訪れなさそうなローカルスポットを見ることができてよかったですよ」と走った感想を口にした。
「沿道で声援していた平壌の人たち100人くらいとハイタッチできたことが感動的でした。事前情報と違いハーフも競技場がゴールだったのは嬉しかったのですが、競技場へ戻ってくるとサッカーの試合をしており、トラックにボールが飛んできて前のランナーに当たりそうになっていました(笑)。帰りの列車では、行きの列車で会った北朝鮮人とまた再会して写真を撮ったり、オーストラリア人とか各国のランナーたちとも交流することができ盛り上がりました」(日本人女性)
レースを終え駐車場へ向かう選手や関係者たち
多くの外国人を集めることができ外貨稼ぎの意味では成功裏に終わった今年の平壌マラソンだが、運営面でのずさんさは各所に目立ち、まだまだ改善の余地はありそうだ。
それにしても、通常通り開催のマラソン大会に、現地住民との交流など、なんとも平穏な雰囲気であり、とても「戦争を仕掛けている」、「周囲を挑発している」ようには思えないのだが……。果たしてこの先、何かは起きるのだろうか……。
<取材・文・写真/中野鷹>