簡素で頑丈な、日本独自のロケット・エンジン「LE-9」。いよいよ燃焼試験がスタート

鳥嶋真也
LE-9

日本が開発した「LE-9」の試験用エンジン。まもなく実際にエンジンを噴射する、燃焼試験が始まる Image Credit: JAXA

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は3月31日、開発中の新型ロケット「H3」に使用する新型ロケット・エンジン「LE-9」の試験用のエンジンの製造が完了し、今年4月から約1年かけて、実際にエンジンを噴射する燃焼試験を開始すると発表した。

 H3ロケットは2020年度の初打ち上げが予定されており、現在運用中の「H-IIA」や「H-IIB」ロケットのあとを継ぎ、日本の宇宙開発を維持、発展させ、そしてさらなる高みへと押し上げるための重要な使命を背負っている。そして、H3ロケットを飛ばすLE-9エンジンは、日本が長年育んできた技術を使った高い性能をもつエンジンで、この燃焼試験の開始により、LE-9の、そしてH3の開発も、いよいよ佳境に入る。

 先日は、H3ロケットの目的や、開発の意義などについて解説したが、今回はそのH3を宇宙へ飛ばす、LE-9ロケット・エンジンの特長や可能性などについて解説したい。

さまざまなロケット・エンジンの仕組み

 ロケットというと、後ろから豪快に吹き出す炎や煙、そして轟音が特徴的である。その源であるロケット・エンジンは、ロケットを宇宙へ飛ばすために、最も必要不可欠な部品である。

 しかし、一口にロケット・エンジンといっても、それを動かす仕組みにはさまざまな種類がある。

 ロケット・エンジンのうち、液体の推進剤(燃料や酸化剤)を使うエンジンは、燃焼室という円筒形の部屋で両者を混ぜて燃やし、それによってできたガスを、ノズルというお寺の鐘のような部品を通して噴射し、前に進む力を得ている。

 大きな噴射力を得るため、燃焼室は高温、そして高圧の状態になっている。この燃焼室で推進剤を燃やし続けるためには、推進剤を絶え間なく送り込まなくてはならないが、燃焼室が高圧であるということは、推進剤を送り込むにはそれ以上に高い圧力が必要になる。

 その強力な圧力を作り出すため、液体エンジンの多くは、ターボ・ポンプという強力なポンプをもっている。ターボ・ポンプは、まずエンジン本体のメインの燃焼室とは別にある、小さな燃焼室で推進剤を燃やし、その発生ガスでポンプを動かすことで、推進剤をエンジン本体に送り込むのに必要な力を作り出している。

rocket system

現在の日本や米国、ロシア、中国などのロケットが採用しているエンジンの形式の一例。簡単な図ながら、とても複雑な構造をしている Image Credit: NASA

 厳密にはさらに細かい種類はあるものの、こうした仕組みのエンジンは、現在の日本の主力ロケットであるH-IIAをはじめ、スペースXのファルコン9や、米国やロシア、欧州、中国など、世界中のロケットの大半が採用している。

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簡素で造りやすく、頑丈で壊れにくいエンジン

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