マルハンが導入したギャンブル依存症対策プログラムはどこまで実効性があるのか?

自己申告プログラムでギャンブル依存症に歯止めはかかるのか

 パチンコ業界最大手の株式会社マルハンが、全国44の都道府県(全45店舗)において、「自己申告プログラム」の導入をHP上で発表した。 「自己申告プログラム」とは、パチンコ業界が推進するギャンブル等依存問題対策の取り組みの一環であり、この1カ月で、マルハン以外の多くのパチンコ店でも導入を始めている。パチンコ業界団体である日本遊技関連事業協会(以下、日遊協)によれば、3月16日時点で全国489店舗が「自己申告プログラム」を導入しており、その数は日ごとに増えている。  パチンコ店の「自己申告プログラム」とは何なのか。その実効性はいかほどなのか。

「自己申告プログラム」とは何なのか?

「パチンコ・パチスロをご遊技される会員カードをお持ちのお客様が、1日の使用金額の上限を店舗に自己申告すると、その上限額を超えた場合に店舗スタッフがその事実をお客様にお知らせするシステムです。このシステムにより、適度にパチンコ・パチスロを楽しみたい、のめり込みを抑制したい、と考えるお客様の要望に応え、安心した遊技環境をサポートするものです」(株式会社マルハンHPより)  これが「自己申告プログラム」である。パチンコを遊技した人であれば分かるであろうが、その内容は、ギャンブル等依存症対策の実効性の観点から言えばかなり杜撰である。  そもそもプログラムの前提が、「会員カードを使用した遊技客」に限定されており、1日の申告金額の上限を超えても、その「事実を伝える」のみ。  遊技客の立場から言えば、パチンコホールの会員カードを使用しなくても遊技はでき、上限オーバーの事実を伝えられても、それ以降も遊技の続行は可能だ。そもそも、自己申告していないパチンコ店では遊技し放題なので、「自己申告プログラムの導入=依存症対策」とは決して言えない。
次のページ
自己申告プログラムの欠点をどう克服するのか
1
2
バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会