究極のエコカー「MIRAI」は電気自動車と何が違うのか?
トヨタがセダンタイプのFCV(燃料電池自動車)「MIRAI」(ミライ)を、12月15日から発売すると発表した。
「MIRAI」は、簡単にいえばリチウムイオンバッテリーなどの普通の電池の代わりに、高圧水素タンクを搭載した電気自動車(EV)だ。「MIRAI」は水素を空気と融合させて自ら発電しながら走るEVなので、ガソリン車やハイブリッドカーのようなエンジンを搭載せず、モーターのみで走る。
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既存のEVとの違いは、バッテリーに電気を充電する代わりに、タンクに水素を充填するということ。3分程度の水素の充填で約650kmの走行が可能だという。そんな「MIRAI」の乗り心地はどうなのか? プロトタイプに試乗したエコカー評論家・清水草一氏に聞いてみた。
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「『MIRAI』に乗ってドライバーが感じることは、一言で言ってよくできたEVということ。EVらしい発進時からの太いトルクに加えて、低重心のおかげで操縦性も悪くない。加速は、日産リーフよりやや遅く感じましたが、それでも十分速い。とにかくこのクルマのすごいところは、燃料電池車を世界で初めて市販することです」
もちろん世界初の試みゆえ、越えなければいけない課題もある。
「この先、10年20年と続きそうなのが、『普通の電池と燃料電池どっちがいいのか?』という議論です。当面、回答は出ないのですが、現状だと燃料電池が不利。なぜならインフラはこれからだし燃料も高い。現状、普通に水素を買ったらガソリン車より燃料代がかかってしまう。もちろん、この点については日本政府が『水素を当面無料にしようか?』と検討中。勝負の行方は国の政策次第とも言えます」
動画:http://www.youtube.com/watch?v=062WzPSt_NM
ちなみに「MIRAI」は4人乗り。バッテリーレイアウトの工夫で、トランクルームには9.5インチのゴルフバックが3つも入る。価格は723万6000円だが、政府の補助金が最大202万円で、これにエコカー減税と自動車グリーン税制による減税分などを加えると、約225万円安くなる。実質約500万円で購入することができるのだ。
2015年末までに、官公庁などを中心に国内で約400台の販売を見込んでおり、まずは東京、名古屋、大阪、福岡など、近くに水素ステーションが設置され(もしくはすでにあり)、ユーザーの利便性が高いエリアのトヨタ店やトヨペット店で販売される。車名どおりクルマ社会の未来を切り開けるのか? トヨタの挑戦にホンダも即座に参入を表明しているだけに面白くなってきた。 <取材・文/HBO取材班 撮影/山川修一(本誌)>
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