表情認識アプリは感情的に食べたい食事メニューをランキング可能
話を戻しますと、この感情認識AI、感情を計測してくれるのはわかりましたが、これが何の役に立つのでしょうか?こんなデモが用意されていました。
⇒【画像】はコチラ https://hbol.jp/?attachment_id=135457
次々とメニューが出される間に、こちらの表情が分析されてゆく
10種類の食事のメニューが次々とモニターに映し出されるのを見ていきます。美味しそうな食事に色々な感情が沸き起こってきます。10種類見終わると……。
⇒【画像】はコチラ https://hbol.jp/?attachment_id=135458
表情を分析された結果、自動的にレコメンドされた
はい!私にオススメのメニューランキングが出ました!!
モニターの上に付いているカメラに感情認識AIが搭載されており、次々と映し出される食事に対して私がどんな感情を抱いているかを計測しているのです。ポジティブな感情を抱いていた順にオススメメニューが提示される仕組みなのです。
このアプリですが、一人でも出来ますが、複数人同時にも出来るところが注目すべき点です。
仲間数人での集まり。小腹が空いたときをイメージしてみて下さい。何かみんなで一緒に食べれるものでも注文しようか~なんて時に、このアプリが搭載されたメニュー表をみんな見れば、皆の幸せの総和が一番高いメニューをアプリが算出してくれる、そんな日が訪れるかも知れません。
このメニューランキングのシステムを応用して、私が勝手に妄想していたのは、「感情多数決」です。
会議などで、本当はみんな乗り気じゃないのに何となく決定された提案。この提案の決定に組織の士気が下がった、最悪、その提案をもとにしたプロジェクトが失敗に終わった、そんな経験はありませんか?
会議のメンバーに様々な提案を見てもらい、そのときの感情の総和をアプリに認識してもらい、感情ランキングや感情多数決を取り、理性的に決めた提案と比較してみる。
自由に意見を出しにくい会議のときほど(Yesマンを囲いたがるリーダーとの会議とか?)、感情多数決、威力を発揮する気がしています。
感情的に決めた提案など……と言われそうですが、いえいえ、感情は案外、バカに出来ないものです。
直感や直観は、ときに理性によって積み上げられた推論よりも適切な解答を導いてくれることが知られています。無意識(感情)と意識(推論)との新たな共存の形とはどんなものになるのでしょうか?
今後も、感情認識AIの行くへを追って行きたいと思います。
【参考】
米Affectiva社
株式会社シーエーシー(Affectiva日本代理店)
〈文・清水建二〉
【清水建二】
株式会社空気を読むを科学する研究所代表取締役。1982年、東京生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、東京大学大学院でメディア論やコミュニケーション論を学ぶ。学際情報学修士。日本国内にいる数少ない認定FACS(Facial Action Coding System:顔面動作符号化システム)コーダーの一人。微表情読解に関する各種資格も保持している。20歳のときに巻き込まれた狂言誘拐事件をきっかけにウソや人の心の中に関心を持つ。現在、公官庁や企業で研修やコンサルタント活動を精力的に行っている。また、ニュースやバラエティー番組で政治家や芸能人の心理分析をしたり、刑事ドラマの監修をしたりと、メディア出演の実績も多数ある。著書に『
「顔」と「しぐさ」で相手を見抜く』(フォレスト出版)、『
0.2秒のホンネ 微表情を見抜く技術』(飛鳥新社)がある。