2020年、芸人大淘汰時代が到来する!?

「解散」の次を見据えろ

――そういった厳しい状況がずっと続く中で、芸人仲間から解散や引退を相談されることも多いかと思います。アドバイスする際に意識していることはありますか? ユウキロック:僕自身も何度か解散をしてきているので、解散することに否定はしません。そんな自分がアドバイスで意識していることは「解散は始まりなんですよ」ということです。解散するのは簡単。理由は仲違いでもなんでもいいです。何より大切なのは、「次を見据えているのか?」ということ。近著『芸人迷子』の中でも書いていますが、僕も中田カウス師匠から解散することの重みについて、厳しくも素晴らしい言葉をいただいたことで改めてそのことに気づかされました。戻ることは容易ではないので、それでも解散するのかをしっかり考えてほしいですね。 ――『芸人迷子』では、人気コンビだったストリークの解散についてのエピソードがとても印象的でした。才能ある芸人が解散や引退する姿をどのように見てきましたか? 芸人迷子ユウキロック:「辞めないこと」「続けること」を美徳と考えていた僕には、この世界を去っていく芸人の考えがずっとわからなかったです。ただ、ストリークの解散は衝撃でした。「どういう姿勢で続けていくのか?」という部分を自分はしっかりと考えていなかったという事実をストリークに突き付けられました。あんなになりたかった芸人だったのに、気が付いたら芸人でいることを不幸に感じていた自分が恥ずかしかったです。 ――ユウキロックさんご自身、現在は「元芸人」を名乗られていますが、「芸人」をやめる決断はどのようなタイミング、ご心境でされたのでしょうか? ユウキロック:僕はモノマネやギャグができる芸人ではなかった。つまり、「漫才」をすることで僕自身が「芸をする人」として生存できたわけです。それがコンビを解散して、漫才を辞めることになった。だから「芸をする人」ではなくなるわけで、芸人を辞めるのは必然だったと思います。今は「芸人」と名乗ってしまえば、すぐになれるくらい世間では軽く思われているかもしれませんが、僕は「芸人」というものを重く思っています。だから「芸人」と名乗ることは、もうできません。ただ、「芸人」と名乗っていなくても腕は落としたくない。腕は落とさないように「おもろい元芸人」として生きています。 【ユウキロック】 1972年、大阪府生まれ。1992年、11期生としてNSC大阪校に入校。主な同期に「中川家」、ケンドーコバヤシ、たむらけんじ、陣内智則らがいる。NSC在学中にケンドーコバヤシと「松口VS小林」を結成。1995年に解散後、大上邦博と「ハリガネロック」を結成、「ABCお笑い新人グランプリ」など賞レースを席巻。その後も「第1回M-1グランプリ」準優勝、「第4回爆笑オンエアバトル チャンピオン大会」優勝などの実績を重ねるが、2014年にコンビを解散。 芸人迷子特設サイト http://www.fusosha.co.jp/special/geininmaigo/ <取材・文/HBO取材班 撮影/林紘輝>
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芸人迷子

島田紳助、松本人志、千原ジュニア、中川家、ケンドーコバヤシ、ブラックマヨネーズ……笑いの傑物たちとの日々の中で出会った「面白さ」と「悲しさ」を綴った入魂の迷走録。

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